平成最後の年のヒット商品・ブームは何だったか、なぜヒットしたのか……。日経トレンディが選んだ毎年恒例のランキング「ヒット商品ベスト30」完全版とその解説記事を、日経クロストレンドでお届けする。

※日経トレンディ 2018年12月号の記事を再構成

 日本中が沸いた歌姫の引退劇、女性が歓喜した「3つの顔を持つ男」、ひたすら褒めるキャラクター……。日経トレンディが平成最後の年を前に、既存の枠組みを超え、次代への可能性を切り開いたヒット商品・ブーム30を選出。ランキング形式で一挙紹介する。

 1~30位の解説記事は11月5~8日に日経クロストレンドで順次掲載。発売中の日経トレンディ18年12月号では丸ごと読めるほか、デジタル雑誌として、日経クロストレンド上の誌面ビューアーでも閲覧できる(有料会員限定)。

「2018年ヒット商品ベスト30」のランキング選考基準
 2017年10月から18年9月の間に発表・発売された商品・サービスを対象にヒットの度合いを評価した。
 具体的には下の3項目に沿って総合的に判定した。期間前に発表・発売された商品でも、期間内に著しくヒットしたものは対象に加えた。
 昨年すでにヒットしていた商品は、原則として対象外とした。

評価項目
【売れ行き】:売り上げやシェアはどれだけ拡大したか。どれだけ人を集めたか。 売れ行きはどれくらい継続する余地があるか
【新規性】:これまでにない画期的な技術、着眼点、売り方の工夫があったか
【影響力】:他社の追随を呼んだか、あるいは従来にない市場を形成したか。生活スタイルや社会の常識を変えて、世の中に影響を与えたか

【1位】安室奈美恵

平成の歌姫の引退劇が国民全員の関心事に発展。「感謝」と「応援」の波は各業界に旋風を巻き起こし、経済効果は500億円超とも

【2位】ドライブレコーダー

「東名高速あおり運転事故」の報道後、“走る防犯カメラ”に事故抑止を期待した人が殺到。1年間で前年の約2倍となる346万台を出荷

【3位】ペットボトルコーヒー

開拓者「クラフトボス」が2000万ケースを突破し、2年目の大躍進。後追い商品も売れ、「ちびだら飲み」の新スタイルを確立した

【4位】ZOZO

10時間で23万件の注文が殺到した「ZOZOSUIT」で体形データを大量取得。話題振りまく“ZOZO劇場”がアパレル革命の発火点に

【5位】グーグルホーム&アマゾンエコー

IT業界を代表するGoogleとAmazonが激しく競り、1年間で普及率は約8%に。手ではなく声を使う新世代のUIを日本にも定着させた

【6位】漫画 君たちはどう生きるか

80年の時を超えた“史上最大”のリバイバルヒット。「奇跡の原作」の現代風アレンジが全世代に刺さり、半年強で発行200万部に

【7位】aibo

12年ぶり復活の犬型ロボットが6カ月で2万台を突破。生命感あふれる動きと成長するAIに、多くのオーナーが感情を揺さぶられた

【8位】ケーブル バイト

断線防止グッズをかわいい動物に仕立てた一点突破で、累計販売個数500万突破。「ポケモン」「カービィ」コラボも人気を加速

【9位】本麒麟

「第3」らしからぬ飲み応えにビール好きも納得。発売3カ月で1億本出荷の垂直立ち上げに成功。「のどごし〈生〉」に続くキリンの顔に

【10位】NONIO

洗口液のニューカマーが定番ひしめく市場に殴り込み。機能のアピールを抑えた逆張り戦略で新規&若年層の取り込みに成功

【11位】名探偵コナン ゼロの執行人

キッズ向けアニメが国民的映画へと脱皮。「3つの顔を持つ男」が女性の心をわしづかみにし、興行収入もグッズ市場も急膨張

【12位】L.O.L. サプライズ!

1個のカプセルに「ガチャ7回分」の満足感を詰め込み、3カ月で約100万個出荷の垂直発進。女児玩具市場に新ジャンルを確立した

【13位】無糖・強炭酸

「甘くない」「刺激強め」が健康志向の人にマッチ。飲料2強が参戦して市場を広げ、3大ブランドで計2500万ケース出荷に到達した

【14位】コウペンちゃん

キャラクター業界の常識を超えるスピード出世。疲れた大人を毎朝癒やす画期的な「褒めキャラ」が、1年半で50億円市場を生む

【15位】東京ミッドタウン日比谷

商業エリアでない東京・日比谷に半年で1200万人を呼び込んだ。グルメを核とした売り場づくりは、商業施設の常識をも変えた

【16位】チョコミント

「チョコミン党」の“結成”で市場が急拡大。パン、飲料、文具にまでブームが派生。猛暑のなか、人々が清涼感ある刺激を買い求めた

【17位】明治エッセル スーパーカップ スイーツ

ケーキさながらの層状アイスがご褒美ニーズを開拓。シリーズで約45億円を売り上げ、プレミアムアイス市場に新風が吹いた

【18位】エプソン チームラボ ボーダレス

470台のプロジェクターで描く「世界初のデジタルアートミュージアム」が、3カ月弱で50万人を魅了。チケットが瞬間蒸発した

【19位】お椀で食べるカップヌードル

「少量」と「おわん」提案で即席麺が夕食の一品に昇格。シリーズ全体で年間4000万食出荷。袋麺市場で光った「罪悪感フリー麺」

【20位】肩掛けスピーカー

テレビで紹介されるや否や、周りを気にせず大音響を楽しみたい人が殺到して5カ月間品薄に。「ながら聴き」の市場も確立した

【21位】プリントス

玩具界から「チェキ」に殴り込んだ新星。スマホ画像を印刷できる「アナログプリンター」が約30万台出荷。約10カ月間品薄続く

【22位】タピオカミルクティー

猛暑でも若者が長蛇の列を成した謎ヒット。18年、「Gong cha」を筆頭に各ブランドの店舗数が急増。1日に1000杯売り上げる店も登場

【23位】PUBG・荒野行動

約100人で生き残りを懸けて戦う「バトルロイヤルゲーム」が連続ヒット。若者の間で社会現象化した後追いアプリは1000万DL突破

【24位】ポケトーク

話した言葉が外国語になる“夢の翻訳機”が瞬間蒸発し、3カ月間欠品。海外旅行だけでなく語学学習やインバウンド対策にも売れた

【25位】乃木坂46写真集

20万部級のメガヒット連発で、上半期売り上げトップ10に5作品が入る快挙。競い合わないアイドル像が広くファンの心も捉えた

【26位】サバ缶

健康ブームで大ヒットし、年間228億円市場に成長。ついには缶詰の王者ツナ缶を逆転し、イワシ缶にまでブームが波及した

【27位】花椒

インスタ映えに飽きた人の「刺激への飢え」を捉えたのは、口中がしびれる辛さの「シビ辛」。NBから外食まで激辛グルメの新定番に

【28位】カシヤマ・ザ・スマートテーラー

店に行かなくても採寸でき、僅か1週間で自宅に届く。老舗が生み出した革新的オーダースーツが1年間で5万着以上の見込み

【29位】スタディプランナー

1日ごとの勉強の目標や成果を書き込むことに特化した「学習記録ノート」が10万部売れ、受験界に新風。大手もこぞって市場に参入

【30位】カメラを止めるな!

インディーズ映画史上に残る快挙。無名の人々が300万円で作った傑作が、並み居る大作をごぼう抜きして興行収入28億円超に

©2018 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会 ©ENBUゼミナール ©TOMY ©MGA 「漫画 君たちはどう生きるか」マガジンハウス 吉野源三郎(原作) 羽賀翔一(漫画)

(写真/中村和孝)

※次回は11月5日公開予定

この記事をいいね!する