※日経トレンディ 2018年12月号の記事を再構成
「新元号」と「増税」。2019年に確実にやってくる2つの未来だ。いずれも日本の消費を大きく変えるインパクトのある出来事だが、やってくる未来はそれだけではない。ワールドクラスの外資系小売り、SFさながらの技術革新……。時を同じくして、あらゆるものが押し寄せる1年になる。
まずは“黒船”から紹介しよう。フランスからやって来るのが、アウトドア用品やスポーツ用品をグローバルで展開する「デカトロン」。高機能とシンプルなデザインを兼ね備えたブランドだ。
フランスと聞いて「お高いんでしょう?」と思いきや、さにあらず。バックパック350円(税込み、以下同)、寝袋1690円、テント6490円と、むしろ目を疑うほど安いのだ。このジャンルで一足先に価格破壊を起こしている日本の「ワークマンプラス」と共に、激安&高機能カジュアルが来年の台風の目となるのは確実だ。
最高品質を売りにする外資の上陸も相次ぐ。台湾が誇るアジア最高の書店「誠品生活」は日本橋に、世界5店舗目となる「スターバックス リザーブ ロースタリー」は中目黒にそれぞれ開業予定。“世界基準”が東京に押し寄せる。
続いて紹介するのは「近未来」だ。「行くぜ、キット!」「了解です、マイケル」。この掛け合いで一世を風靡したのが、80年代の大ヒットSFドラマ「ナイトライダー」。主人公と相棒のAIカーとの会話が、19年はついに現実のものとなる。
AIカーの本命が「アレクサ オート」。今年のヒット商品「アマゾンエコー」にも使われる音声アシスタントを、自動車で使えるようにした技術だ。現在、道案内やメッセージの読み上げなどができる車載機器の開発が進められている。クルマが頼れる相棒になるのはもうすぐだ。
となれば、次に来るのは当然、ロボット。今年9月にドイツで開催された世界最大級の家電ショー「IFA」では、多くの企業がプロトタイプを公開した。アシスタントとして人に寄り添うロボットなら、aiboをヒットさせたソニーをはじめとする日本企業のお家芸。日の丸勢の躍進にも期待だ。
最後に、冒頭の新元号に話題を戻そう。5月の皇太子さま即位と新元号への改元、10月の即位礼正殿の儀と、来年は皇室関係行事が目白押しの1年となる。上皇の称号が使用されるのは江戸時代以来、実に約200年ぶりだ。
“予定された即位”だからこそ、自粛ムードとは無縁の新元号フィーバーが巻き起こる。入念に予定された祝賀ムードの皇室関連イベントや展覧会が多数行われ、古き良き日本と邂逅する機会が格段に増えるはずだ。
東京五輪の2020年がクローズアップされ、見落とされがちな19年。実際は、あらゆるモノが押し寄せる、記憶に残る年になる。
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