ライブコマースとは、ライブ配信とECを掛け合わせたサービスで、配信者がライブ動画を通じて商品を紹介し、視聴者がこれらの商品を直接購入できるという仕組みだ。以前はECの中でもマイナーな存在だったが、ここ数年、著しい進歩を遂げている。その裏にある「下海」現象とは。

シリアルアントレプレナーとして有名な羅永浩(ルォ・ヨンハオ)氏のライブコマースの様子。2.5キログラムのオレンジをわずか0.01元(約0.15円)で販売した
シリアルアントレプレナーとして有名な羅永浩(ルォ・ヨンハオ)氏のライブコマースの様子。2.5キログラムのオレンジをわずか0.01元(約0.15円)で販売した

 エープリルフールである20年4月1日に、一見、フェイクニュースかと思うような情報がネットを駆け巡った。会社の設立と売却を繰り返すシリアルアントプレナー(連続起業家)として知られる羅永浩(ルォ・ヨンハオ)氏が、3時間17分のライブコマースで4800万人の視聴者を集め、1.7億元(約25億5000万円)もの取引額を記録したという。この“嘘”のような歴史的大記録をたたき出した羅永浩氏だが、これがなんと人生初のライブコマースだったという。エープリルフールに“ふさわしい”記録だが、これにはいくつかの要素が深く影響している。

 第1に、新型コロナにより抑えられていた消費意欲を刺激し、取引額の大幅な増加に貢献したこと。第2に、中国国内では新型コロナの収束傾向が見られるものの、4月時点ではまだ学校や職場も再開していないところが多く、通常時よりも視聴者数が大幅に増加したため、結果として取引額が伸びたこと。第3に、19年の下半期から有名人による「下海(シャアハイ)」現象が増えており、ライブコマースを利用するユーザー層が一挙に拡大していたことだ。

 羅氏はその後も4月10日、16日、24日と週に1度のペースでライブコマースを実施。初回ほどの注目は集められなかったものの、それぞれ5000万元(約7億5000万円)近い取引額をたたき出している。5月に入ると、中国のライブコマース市場は一層活気づき、数々の大物がライブコマースへと参戦している。

 中国のライブコマースはここ2年で著しい成長を遂げ、数多くの若者が利用し始めている。17年には190億元(約2850億円)ほどの市場規模だったが、19年には4338億元(約6兆5070億円)に達し、今年は新型コロナウイルスが契機となり、さらなる成長を遂げている。

 だが、それ以前はECの中でもマイナーな存在だった。そのライブコマースの原点を探ると、ライブ配信の黎明(れいめい)期までさかのぼる。

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