アリババグループの天猫スーパーが、ジャック・マー氏の提唱するニューリテール事業を推進している。その一つが大学キャンパス内で展開を始めた「天猫キャンパススーパー」だ。顔認証で決済可能なセルフレジなど先端技術を導入し、「学生のために最適化したスーパー」を目指す。
アリババグループの傘下にある「天猫(Tmall)」は2012年1月11日に開設された中国最大のB2Cショッピングサイトだ。18年11月には“大天猫”という組織改革を行い、天猫事業、天猫超市(以下、天猫スーパー)、天猫輸入・輸出事業などに分けられた。その中でも特に重点を置いているのがアリババの会長、ジャック・マー氏が提唱するニューリテールコンセプトの下で事業を推進する天猫スーパーだ。
同じくアリババグループの傘下のC2Cショッピングサイト「淘宝網」(タオバオ)は03年に開設され、急成長を遂げていた。しかし、個人間の取引が故にコピー商品や粗悪品などがサイトに多く出回り、問題となっていた。
この問題に対し、天猫は営業許可証や販売ライセンス証明などの提出を出店社に要求し、高い出店基準を設けることで、消費者の信頼を得ている。天猫スーパーは天猫に出店している企業と連携し、オフラインで商品を販売すると同時に、オンラインでも商品の注文を受け付ける。その天猫スーパーが18年から、「キャンパス・ニューリテール戦略」を進めている。
その「天猫キャンパススーパー」第1号店が18年に中国四川省の成都市にある四川師範大学に開店。さらに19年3月には、首都・北京の清華大学でもオープンした。
天猫キャンパススーパーは、さまざまな最先端のテクノロジーを導入し、ニューリテールのコンセプトを取り入れており、従来の小売業のイメージを覆す。清華大学にある天猫キャンパススーパーを訪れると、まず驚くのはその環境だ。
大学側が運営する従来型のスーパーを訪れると、どこか懐かしい雰囲気が漂う“昔風のスーパー”という感じだった。だが、天猫キャンパススーパーは従来の小売業としての機能に加え、学生のために自習スペースなどを設け、プリンターやモバイルバッテリーのシェアリングサービス、USBコンセントなどを設置。近未来的な店舗設計となっている。また、イベントスペースも設け、筆者が訪れたときには化粧品メーカーが商品のプロモーションイベントを行っていた。
顔認証で決済できる無人レジ
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