米中貿易戦争の行方が世界の注目を集めているが、市場としての中国の存在感は今後もますます増していくだろう。前回は、中国人男性に密着し、中国の消費生活の一端をお伝えした。今回は上海在住の日本人の生活に密着してみた。
岩永明さん(36歳)は現在、日本の広告制作会社の上海支社代表をしている。2010年に上海に住み始めた。上海を移住先として選んだのは、“なんとなく日本を出たい”という思いがあり、海外へ移住している友人たちのなかで上海を選んだ人がほとんどいなかったからだという。現在は、1カ月の半分が上海、残り半分は日本を含めた海外出張の生活をしている。
岩永さんが上海に住み始めた当時、上海だけで在留邦人が10万人以上いたとされている。しかし、17年(最新数値)には10年当時の約半数まで減少した。要因は主に日系企業が中国から撤退したことで、赴任していた日本人が帰国したからだとされている。
待ち合わせ場所は岩永さんの自宅
岩永さんは上海市内中心部に、賃貸でマンションを借りている。取材当日は朝8:30にその自宅で待ち合わせをした。現在はパートナーの日本人女性の方と2人暮らしとのことだ。
中国の賃貸マンションは基本的に、室内がきれいに塗装されていて、家具や家電(キッチン、冷蔵庫、洗濯機、ソファ、ベッドなど)が付いている。日本には家具・家電付き賃貸物件はあるが、かなりまれではないだろうか。この部屋(1LDK家具・家電付き)で、家賃は月額約30万円だという。
生活に必要なカーペットやテレビ、ゲームなどは別途購入したそうだが、中国の賃貸マンションを借りた場合、生活に必要なものがほとんどそろっていることはあまり知られていないのではないか。
上海にいるときは6:30~8:30の間に起床して朝食を済ませる。朝食は毎日デリバリーを利用する。スマートフォンのアプリで注文するだけで届けてくれるのだ。「Uber Eats」のイメージに近いだろう。
いつも利用しているアプリが2つあるという。1つ目は青いジャンパー、バイクが目立つ「餓了麼(アーラマ)」。中国語で「お腹すいた」という意味の言葉で、それをそのままサービス名に使用しているのが印象的だ。
もう1つは、「美団(メイトゥワン)外売」で、黄色いヘルメットとジャンパーを着用している。
どちらも最低注文料金、配送料も店ごとに異なる。また、同じ店が上記2つのアプリに登録されている場合、配送料や商品単価が異なることもある。
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