2018年1月、北京に1号店を出店した「瑞幸咖啡(luckin coffee/ラッキンコーヒー)」は、わずか1年で中国22都市に2000店舗以上を展開。19年初めには、年内にさらに2500もの店舗を開業することを発表した。なぜ中国でこれほど急速に受け入れられたのかをひもといていきたい。
スターバックスとは真逆を行く
ラッキンコーヒーは日本のメディアでも取り上げられているので、店名を聞いたことがあるという人も多いだろう。
カフェの代名詞的存在「スターバックス」の店舗では通常、カウンターを通して店員に注文し、金額を支払い、注文した品を受け取る。これに対し、ラッキンコーヒーにはレジはなく、店員に直接注文することはできない。では、どう注文するのか。実は「ラッキンコーヒー専用アプリ」からのみ注文できる仕組みなのだ。
筆者は、ラッキンコーヒーを実際に試してみようと、上海の華祺大厦店を訪れた。
ラッキンコーヒーの考え方とは
まず、店構えから説明したい。スターバックスはロゴを全面に出し、多くの人々の目に付く場所に店舗を構えるケースが多い。しかし、ラッキンコーヒーは路面店はほとんどなく、どのビルに店舗を構えているか、街を歩いているだけでは全く分からなかった。これだけ店舗数があるので、すぐにロゴが目に入り、人気の様子がうかがえるものだと思っていたが、違った。
ラッキンコーヒーにも広々とした大型店はあるが、多くは数席規模の持ち帰り型店舗か、配達専門の店舗だという。
次に、注文方法である。前述の通り専用アプリでしか購入ができないため、店舗カウンターにはアプリダウンロード用のQRコードが設置されていた。
華祺大厦店は、上海市中心部にある店舗で、1日当たり平均1200杯ほど売り上げるという。店舗に入った時間は10:30頃。その時間には、店員は3人体制で、作る担当1人、注文を確認する担当1人、配送用に袋詰めする担当1人であった。
中国のデリバリーサービスは通常、店側が専用の配達員を雇うことはほとんどなく、配達業者に登録している配達員に依頼して配送してもらうシステムが一般的である。しかし、ラッキンコーヒーは専用の配達員を採用しており、配達員はラッキンコーヒーの配達のみを行う。
ラッキンコーヒーの配達員は、日本でいうフリーターと同じで、複数の仕事を掛け持ちしている人がほとんどだという。彼らの平均月収は(他の働き先も含めて)日本円で約15万円とのことだ。
注文してみた
専用アプリを開き、どの店舗にコーヒーを作ってもらい、店舗受け取りをするか、配達してもらうかを選択する。筆者はこのとき、既に店舗にいるので、店舗受け取りを選択した。
その後、商品を選択するが、商品の価格は3種類にほぼ集約されている。価格は、21元(日本円で約336円)、24元(日本円で約384円)、27元(日本円で約432円)である。軽食(マフィン、スコーン、サンドイッチなど)も注文できるが、これらは値段が13元(日本円で約208円)で購入できる。
次に、支払う方法を選択する。WeChat Pay(ウィーチャットペイ)かAlipay(アリペイ)か、Unionpay(ユニオンペイ)のどれかを選ぶ。このとき、ウィーチャットペイの横にあるオレンジの吹き出しは、ウィーチャットペイで支払えば割り引きがあることを示している。
今回はウィーチャットペイで支払いをしたので、1元(日本円で約16円)の割り引きが適用となった。
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