世界中から注目を集めている中国。深圳は中国のシリコンバレーと呼ばれ、国全体でキャッシュレス化が進んだ。だが素顔の中国人が何を感じ、どのような生活をしているのか、知っている人はあまり多くはないだろう。上海に住む男性Kさんの休暇に密着した。
Kさんは上海生まれの上海育ちで、某金融企業に勤める28歳の男性だ。年収でいうと上海では平均的なKさんだが、大学時代に日本語を専攻するほど日本が好きで、年に5日しかない有給休暇を利用して日本を訪れる年もあるという。
朝8:30に、筆者が宿泊していたホテルで待ち合わせをした。この日のKさんの休暇の予定は、「杭州」への日帰り旅行である。杭州といえば、アリババが本社を構える地である。上海市内から杭州へ行くには高速鉄道が一番早い。
杭州へ向かうため、ホテルの最寄りの地下鉄駅に向かいながらKさんに話を聞くと、仕事がある日は朝6:30に起床、7:00には家を出て、バスで仕事場へ向かい、8:00前には職場へ到着するという。仕事がある日か休日かにかかわらず、朝の移動中は金融情報をチェックすることを欠かさないという。Kさんのスマホ画面の1ページ目にも金融情報に関するアプリが入っており、特に「東方財富」をよく利用しているそうだ。
Kさんのスマホの1ページ目には、基本的なカレンダーや天気、コンタクトリストなどのアプリの他、トラベル系のアプリ、コミュニケーションアプリでありながら決済システムでもある「微信(ウィーチャット)」、中国版Google Mapの「百度地図」、アリババグループが運営しているショッピングアプリ「手机淘宝(タオバオ)」、あらゆる店舗情報の口コミサイトである「大衆点評」が入っている。これらが頻繁に使用しているアプリだという。「アリペイ」は1ページ目には入っていなかったので、Kさんに聞いてみたところ、頻繁には使わないとのことだ。コミュニケーションのほとんどをウィーチャットでやり取りしているので、支払いも自然に「ウィーチャットペイ」を使うことが多いという。
地下鉄に乗車する際は、ウィーチャットペイで購入できる電子定期券のQRコードを表示し、改札にかざすだけで入場ができる。
地下鉄に乗車し、発車して1分程度経過すると、日本では見慣れない広告が表示される。窓外の壁面に連続したディスプレーがあり、その前を地下鉄が通行すると、30秒程度の映像が表示されるのだ。区間ごとに流れている広告に違いがあり、取材時は主に美術館の展示会の広告や「天猫(ティーモール)」の広告であった。
9:45、上海火車站(高速鉄道に乗るための駅)に到着。高速鉄道のチケットは事前にスマホから申し込みや決済ができ、セキュリティーと改札通過の際は、スマホに表示したQRコードをかざすだけで入出場できる(外国人も事前登録可能だが、窓口でチケットを発行してもらう必要がある)。
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