さまざまな交通手段を統合して次世代の移動サービスを生み出す「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」。MaaS実現の先にある未来を他産業の専門家と探る本連載。今回は、定額制で全国どこでも住み放題となる多拠点コリビングサービス「ADDress(アドレス)」の本格展開を始めた佐別当隆志社長に話を聞いた。ANAやJR東日本グループと連携し、「交通サブスク」の実現も目指すという。
モビリティ革命「MaaS」がもたらす社会的インパクトは移動にまつわるものだけではない。あらゆるモビリティのモードを超えてシームレスな移動を提供するMaaSの実現に至る過程やその先には、他産業のビジネスモデルと連携しながら、まちづくりの在り方が大きく変わり、人々の暮らしがダイナミックに刷新されていく可能性を秘める。
今回は、アドレス(東京・千代田)が提供する「多拠点居住」という新しいライフスタイルと、MaaSが融合する未来を取り上げる。アドレスは2019年4月からテスト展開を始め、10月29日に本格サービスをローンチ。年契約のレギュラープランは月4万円(税別)で、家具や家電、各種アメニティーを完備した全国25拠点のアドレス管理物件から好きな場所を選び、連続して1週間住むことができるユニークなサービスだ(法人向けベーシックプランは月5万円)。
これまで3回のクラウドファンディングでの会員募集を通して、特別プランの月額会員を含めて約200人が契約。3300人を超える人が入居待ちの状況で、年内に50拠点のオープンを計画している。
そんなアドレスの佐別当隆志社長は、16年1月にシェアリングエコノミー協会を設立して事務局長を務めるなど、シェアビジネスの伝道師としても知られる。佐別当氏の視点から捉えたMaaSの世界とは?
鉄道やバス、タクシーに加え、カーシェアやライドシェアなどのあらゆる交通・移動手段を統合し、スマホアプリを介した一括予約・決済を可能にするサービス。クルマを所有するより割安に、かつ同等以上の移動の利便性を得られる。地方の交通弱者対策、渋滞解消などの社会課題の解決にも役立つ。
①移動のパーソナライズ化
→ 個々人のニーズに合わせた移動手段をアレンジ、新たな移動需要の創出が可能に
②交通の最適化・サブスクリプション化
→ モビリティの移動を統合的に制御する仕組みの登場
→ 「乗り放題定額パッケージ」の出現で、交通以外のビジネスとのワンパッケージ化が容易に
③都市空間・立地の再定義
→ カーシェアやライドシェアの普及で駐車場が消滅、空きスペースの有効活用が可能に
→ 交通体系の再構築で、立地によらないビジネスが可能に
観光とは違う。新しい場所の体験をつくる
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