カーシェア、鉄道、バス、タクシーなど、さまざまな交通手段を統合して次世代の移動サービスを生み出す「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」。MaaS実現の先にある未来を他産業の専門家と探る本連載。ゲーム・AI(人工知能)開発の第一人者として知られる三宅陽一郎氏が、前後編2回にわたってMaaSを軸とした都市のデジタルプラットフォームと、ゲーム産業が重なり合う未来を語る。

 モビリティ革命「MaaS」がもたらす社会的インパクトは移動にまつわるものだけではない。あらゆるモビリティのモードを超えてシームレスな移動を提供するMaaSの実現に至る過程やその先には、他産業のビジネスモデルと連携しながら、まちづくりの在り方が大きく変わり、人々の暮らしがダイナミックに刷新されていく可能性を秘める。

 今回は、ゲーム産業がMaaSと融合することで、どのような未来が創造できるのか。ゲーム・AI開発者としてデジタルゲームにおけるAI技術の発展をリードしている三宅陽一郎氏が、MaaSを語る。三宅氏の視点から捉えた移動の未来とは?

【MaaSとは?】

鉄道やバス、タクシーに加え、カーシェアやライドシェアなどのあらゆる交通・移動手段を統合し、スマホアプリを介した一括予約・決済を可能にするサービス。クルマを所有するより割安に、かつ同等以上の移動の利便性を得られる。地方の交通弱者対策、渋滞解消などの社会課題の解決にも役立つ。

【MaaSが都市や生活にもたらす変化のポイント】

①移動のパーソナライズ化
→ 個々人のニーズに合わせた移動手段をアレンジ、新たな移動需要の創出が可能に

②交通の最適化・サブスクリプション化
→ モビリティの移動を統合的に制御する仕組みの登場
→ 「乗り放題定額パッケージ」の出現で、交通以外のビジネスとのワンパッケージ化が容易に

③都市空間・立地の再定義
→ カーシェアやライドシェアの普及で駐車場が消滅、空きスペースの有効活用が可能に
→ 交通体系の再構築で、立地によらないビジネスが可能に

ゲーム・AI開発者の三宅陽一郎氏。京都大学で数学を専攻。大阪大学大学院理学研究科物理学修士課程、東京大学大学院工学系研究科博士課程を経て、2004年からデジタルゲームにおけるAIの開発・研究に従事。理化学研究所客員研究員、東京大学客員研究員、九州大学客員教授。IGDA日本SIG-AI代表、DiGRA JAPAN理事、芸術科学会理事、人工知能学会編集委員。『なぜ人工知能は人と会話ができるのか』(マイナビ出版)、『人工知能のための哲学塾 東洋哲学篇』(ビー・エヌ・エヌ新社)など、著書多数
ゲーム・AI開発者の三宅陽一郎氏。京都大学で数学を専攻。大阪大学大学院理学研究科物理学修士課程、東京大学大学院工学系研究科博士課程を経て、2004年からデジタルゲームにおけるAIの開発・研究に従事。理化学研究所客員研究員、東京大学客員研究員、九州大学客員教授。IGDA日本SIG-AI代表、DiGRA JAPAN理事、芸術科学会理事、人工知能学会編集委員。『なぜ人工知能は人と会話ができるのか』(マイナビ出版)、『人工知能のための哲学塾 東洋哲学篇』(ビー・エヌ・エヌ新社)など、著書多数

MaaSで都市が丸ごとゲーム空間に

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