巨大なプラントをトラブルから守る点検業務。熟練の技術者に頼っていたこの領域に、ディープラーニングで道を切り開き、精度向上とコスト削減、時間短縮に成功したのが日立造船だ。同社は「第2回 ディープラーニングビジネス活用アワード」の大賞を受賞。2度にわたる挫折を乗り越えたその道のりを紹介していく。

(写真/Shutterstock)
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 プラント設備の約30%を占める熱交換器。この検査・診断にディープラーニングを活用して、業務効率改善とビジネスの拡大を実現したのが日立造船である。日立造船は、名称から想起される造船事業は現在では手掛けておらず、ごみ焼却発電施設、海水淡水化プラント、上下水・汚泥再生処理プラントなどのプラント設備や船舶エンジンなどの設計・製作を中心に事業を展開している。同社では、主力事業であるプラント設備の検査・診断に用いる「超音波探傷検査」にディープラーニングを適用して、不可能と思われた実務対応を可能にした。

 そもそもの発端は、2013年にインドの化学会社のプラントで熱交換器の管端溶接の補修を行ったときのトラブルだった。溶接補修を実施し、一般的な超音波探傷検査を実施して欠陥がないことを確認し、補修部分の性能を検査するための耐圧試験を実施したところ、1本の管から漏洩が発生してしまった。検査で見逃した欠陥があったためだった。当時、圧力容器の溶接設計に携わっていて現在は機械事業本部 開発センターに所属する篠田薫氏は、「インドの現場に行っていたのですが、一般的な超音波探傷検査では見つけられない欠陥があることが分かりました。超音波の伝搬する方向にマッチしない斜め方向の欠陥が見つけられないためでした」と語る。

 顧客からは、超音波の伝搬に対して斜め方向の欠陥も見つけられる技術を要望され、篠田氏たちは新しい技術の開発に取り組んだ。

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