未来の交通需要をAIで予測して地図上に見える化する実験が始まっている。道路交通情報など放送関連事業やオンデマンド交通システム「コンビニクル」を運営する順風路(東京・豊島)が東芝デジタルソリューションズ(川崎市)と共同で、実証実験に乗り出した。

画面には地図が映し出されている。地図には太いもの、細いものを含めて多くの矢印が示され、時間の経過とともに矢印の形状が変化していく。これは、オンデマンド交通システムにおける利用者の乗降車場所や時間・人数の需要を予測した情報を、矢印で地図上に示したものだ。未来の特定の時刻に、「A地点からB地点へ、何人の移動の需要があるか」といったことが、地図を見ればひと目で分かる。人の移動の需要が分かれば、それに対応して交通システム側でサービスを供給すればいい。オンデマンド交通システムを高度化して、効率化と利便性向上につなげられるのである。
交通需要の予測システムは、順風路と東芝デジタルソリューションズが共同で実証実験を実施している。2018年7月に実証実験を開始。数週間先の「未来の需要」を予測するシステムのプロトタイプが稼働し始めている。順風路 社長兼運用推進部部長の吉富広三氏は、「これまでも交通需要予測システムはあったが、タクシー事業者向けなどで特定の場所に顧客の需要があるかどうかを示すようなものだった。一方で私たちの予測システムならば、特定の未来の時刻に、どこからどこへ行こうとする人がどれだけいるかの需要が分かる」と説明する。乗車という「点」の需要だけでなく、移動という「線」で交通需要を予測できる予測システムの実証を行っているのだ。
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