地質調査大手の川崎地質は、路面陥没を起こす危険性が高い空洞をディープラーニングによって自動検知する仕組みを、2019年夏までに実用化する計画だ。富士通のディープラーニング基盤サービスを活用する。自治体など道路管理者のパトロール車に路面下空洞探査装置を装着し、走行時に得られた探査データを川崎地質に転送して解析。空洞の場所を自動検知する。

 川崎地質は安くて小型でメンテナンス不要な路面下空洞探査装置を開発中だ。2019年夏以降は、自治体など道路管理者が所有するパトロール車の後部に同装置を搭載。パトロール車を走行させて路面下(深度1.5m程度まで)の探査データを収集し、川崎地質に転送して、ディープラーニングアルゴリズムで作成した学習済みモデルで解析する。空洞の位置など解析結果を、道路管理者に返送する仕組みだ。

 これまで路面下の空洞は、自治体などの道路管理者が川崎地質のような専門業者に発注して計測していた。そのため計測間隔はまちまちだった。小型の探査装置が完成すれば、道路管理者のパトロール車を走行させるだけで計測できるので、頻繁な計測が可能になる。その結果、空洞の時系列の変化が把握できるので、日々大きくなって陥没の危険性が高い空洞を特定できるようになる。そうした空洞を優先的に補修すれば道路補修の効率化が図れる。一方で、空洞の可能性がある異常信号として検知したものが時間がたっても全く変わらない場合は、陥没の危険性が低い空洞か埋設管などの地下構造物だと特定できる。

過去の調査結果を教師データにして学習

 現状、路面下の空洞調査は、人力に頼っている。レーダーによって道路に電磁波を照射してその反射波を計測。反射波がいくつも重なり生成される画像を人間が見て、そこに空洞の可能性がある異常信号と判断して、実際に道路を掘り返して空洞があった場合に、その画像に「空洞あり」というラベルを貼る。そうしたデータセットが川崎地質には数多く存在する。

 路面下の空洞自動検知アルゴリズムは、前記のデータセットを教師データにして、ディープラーニングアルゴリズムに学習させて開発する。「当初、大量のデータセットを用意したら、満足のいくモデルができなかった。そこで、データのクレンジング(実際に確認した空洞の画像もしくは類似した画像に限定)に取り組んだ。データ量は300ぐらいまで減ったが、富士通と協力し、教師データとして質の高い画像を数万データに増強することで求められる学習済みモデルに近づいた」と川崎地質社長の坂上敏彦氏は話す。

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