京都のスタートアップ企業であるデータグリッドは、クリエイターの仕事をAIに委ねる「クリエイティブAI(人工知能)」の開発を進めている。“何かを作り出すAI”の1つとして、アイドルの顔を「生成」するAIを作成し、今後の新しいAIの利用法を提案する。

「アイドル自動生成AI」が作り上げた架空のアイドル画像

 昨今の女性アイドルの顔というと、大勢が踊り歌うユニットなどの印象から、私たち人間は「こんなイメージかな?」と思い起こすことができる。そうしたいわゆる“アイドル顔”を、ディープラーニングによって無数のバリエーションで作り上げる。京都大学発のスタートアップ企業、データグリッド(京都市左京区)が開発した「アイドル自動生成AI」が提供する機能がそれだ。架空のアイドルの顔を高解像度・高品質で自動生成し、同社のWebサイトでは生成した多くのアイドルの顔を連続的に変化させた様子を動画で紹介している。変化するどの顔も確かにアイドルらしい顔つきをしているが、それぞれは皆違う顔をしている。そして、実在する「誰か」ではないところも、不思議な気がする。

 データグリッド社長の岡田侑貴氏は、同社の目指すところをこう説明する。

 「2017年に京都大学のベンチャーインキュベーションセンター(KUViC)でスタートした企業で、絵画やデザイン、音楽など、価値あるコンテンツを生成するクリエイティブAIの研究開発をターゲットにしている。デザイナーやクリエイターのように絵を描いたりキャッチコピーを作ったりする仕事は、人間の仕事の最後の砦のように言われてきた。しかしAIの技術革新はめざましく、何かを創り出すAIが作れるようになってきた」。その1つの実例が、アイドル生成AIというわけだ。

 岡田氏は続ける。「これまでのAIというと、認識、予測といった使われ方がほとんどで、何かを作り出すAIは少なかった。データグリッドでは、クリエイターの仕事をAIにやらせることで、AIが人間のクリエイターの想像を刺激し、人とAIが共創する社会の創出を目指している。11人の社員は全員が機械学習の専門家で、学術的に大学と共同研究をすることもある。一方で、ビジネス面ではクリエイティブAIの成果を企業にライセンスするビジネスモデルを構築している」。

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