大東建託は部屋探しサイトに掲載する物件情報の写真の登録を、人手頼みからAI(人工知能)を活用したシステムに移行した。年間約30万件という登録作業があるだけに、月間3000時間の作業削減効果を見込める。実現へディープラーニングを活用するうえで、データは豊富ながらも意外な障壁があった。

 賃貸住宅などの建設、入居者斡旋などの大手である大東建託は自社の部屋探しサイト「いい部屋ネット」に掲載する物件情報の写真の登録を、人手頼みからAIを活用したシステムに移行した。AIが自動的に物件の写真を分類することで、スタッフの作業時間を削減する。

 「大東建託では103万戸の賃貸物件を管理している。オーナーに土地を活用して建設してもらうことで、貸し出す物件が増えていく。一方で管理側の人件費は物件の増加に比例して増やすわけにはいかない。働く時間には限りがあるので、業務効率を向上させて対応する必要がある。業務効率向上の方策を検討する中で、AIの活用が1つのアイデアとして出てきた」

 こう語るのは、大東建託 不動産事業マーケティング企画センターメディア戦略課 チーフの阿部将貴氏。物件写真へのAIの適用は、情報システム部門ではなく、企画部門からの発案だった。「名称はメディア戦略課だが、実情は“よろずや”。社内に課題があれば解決するのが業務」(阿部氏)というスタンスだ。

 そうした中で阿部氏は、情報収集のために参加したグーグル主催のイベントで、自動車の写真の分類などでディープラーニングを活用している事例を目の当たりにした。それなら自社の業務の自動化にも活用できるのではと考えた。大東建託が物件写真の分類にディープラーニングを使いたいという要望をグーグルに提示したところ、データ活用のソリューション提供などを手がけるブレインパッドを紹介された。2017年秋に同社に直接相談した。実際のプロジェクトの始動は18年1月。ディープラーニングを活用した物件写真のカテゴリー分けシステムは、6月に試験導入を行い、7月には大東建託の全営業所で実稼働を始めた。プロジェクト始動から約半年というスピード稼働を実現した。

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