米シアトルは人工知能(AI)の活用で今、次々とスタートアップが起業し活気を帯びている。こうしたなか、シアトルで活動する日本企業も増えてきている。アステリアは英デザイン企業を買収し、シアトル拠点での営業を開始。シリコンバレーの拠点もシアトルに統合する。
「これからはシアトルの地の利を生かして、AI開発も加速していきたい」
こう語るのは企業間のデータ連係ソフトなどを開発するアステリア(前社名:インフォテリア)の平野洋一郎社長兼CEO(最高経営責任者)である。
シアトルでデザインとAIを強化
アステリアは「これからはデザインの時代が確実に来る。企業で利用するようなBtoBのアプリでもBtoCのように使い勝手やインターフェースのデザインが重要になってくる」(平野CEO)として、2017年に英デザイン会社のディス・プレイス(This Place)を買収。シアトルのエコシステムに本格参入した。
ディス・プレイスは、デザイナー、プログラマーなどのエンジニア、コンサルタントで構成する、デジタル全般の支援会社である。「デジタルトランスフォーメーションの戦略を立案するなど、上流の段階から関与するのが特徴だ。戦略に沿ったモックアップを作るだけでなく、実装まで一気通貫で支援できるのが強み」(平野CEO)。
ディス・プレイスの本社は英ロンドンだが、シアトルには携帯通信会社Tモバイルなど大手顧客の本社や主要拠点があるためオフィスを構えていた。例えば、Tモバイルでは部門ごとにバラバラだったWebサイトのデザインやユーザーインターフェースを統一するといったことを支援しているという。
アステリアはIoT関連のソリューションを開発するため、米国法人のシアトルオフィスも構えているが、「This Placeとの連係を強め、一体として運営していく」(平野CEO)との考え。さらに「日本からのアクセスもいいし、シリコンバレーほどコストも高くない」として、19年にはシリコンバレーのサニーベールにある米国法人のオフィスもシアトルに統合することを検討している。
IoT関連のソリューションはディス・プレイスのデザインのノウハウを取り込み、AIの処理機能を搭載することで深化を図っていく。そのためにシアトルのAIエコシステムやその人材も活用していく考えだ。
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