あらゆる情報の入り口が手のひらのスマートフォンに集約され、スマホが日常生活のインフラになりつつある。このインフラの中核機能の一つがスマホを介した決済機能であり、その中でも特に注目されるのが「QRコード決済」だ。中国では人々の暮らしに溶け込んだ一方、日本では普及が遅れているのはなぜなのか。
日中両国QRコード決済の現状
中国ネットワーク・インフォメーション・センター(CNNIC)が2020年4月に公表した中国のインターネットの発展に関する報告書「Statistical Report on Internet Development in China 2020」によると、中国のスマホ決済利用者(スマートフォンでの決済を利用しているユーザー)が、20年3月時点で7億6500万人に達し、スマホネット利用者(スマートフォンでインターネットを利用しているユーザー)の85.3%を占めるという。スマホ決済のうちQRコード決済が8割以上で、これはスマホネット利用者の約68%を占めている。
日本の公正取引委員会が20年4月に発表した「QRコード等を用いたキャッシュレス決済に関する実態調査報告書」によると、19年12月に実施した消費者アンケート調査の結果、回答者の3割超がQRコードやバーコード決済を利用していることが分かったという。
調査・統計の方法は異なるが、中国のQRコード決済の普及率がはるかに高いことが分かる。QRコード決済サービスのキープレーヤーを見ると、中国ではアリペイとウィーチャットペイの2強が定着しているが、日本ではサービスプロバイダーが群雄割拠する戦国時代の様相だ。
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