華為技術(ファーウェイ)は、グローバルICT業界向け年次イベント「Huawei Connect 2019」を2019年9月18~20日、上海で開催。ここで最新のコンピューティング戦略を発表した。AI(人工知能)を重視したコンピューティング戦略を見てみたい。

  今回の「Huawei Connect」は4回目で、テーマは「アドバンス・インテリジェンス(Advance Intelligence)」。2016年の「Sharp the Cloud」、17年の「Grow with the Cloud」、そして18年の「Activate Intelligence」を見ると、クラウドコンピューティング、そしてAIへと軸足が移ってきていることが分かる。

 開会に当たり、ファーウェイ副会長の胡厚崑(Ken Hu、ケン・フー)氏が基調講演を行い、同社のコンピューティング戦略を披露した。フー氏は、基調講演の冒頭において、米国の制裁で注目されているファーウェイの現状について「ファーウェイは今、間違いなく良い状態にある。今朝の上海の天気と同様、爽やかだ。この重要な時期において、皆様のご支援に対して心から感謝を申し上げたい。皆様のご支援は、我々が落ち着いて前へ進む原動力となり、きっと皆様を失望させない」と自信を見せた。

「コネクション」と「コンピューティング」が2本柱

 フー氏は、今後のキーテクノロジーとして「コネクション」と「コンピューティング」を挙げて説明した。

 「インテリジェントワールドには、全てのものがセンシングできること、相互に接続できること、そしてインテリジェントになることという3つの特徴があり、2つのキーテクノロジーに持続的に力を入れないといけない。それは、コネクションとコンピューティングだ。ファーウェイはコネクションのみの会社ではなく、コンピューティングにも10年以上取り組んできた」

【ファーウェイのコンピューティング戦略】

 フー氏は、インテリジェントワールドをコンピューティングで実現するコンピューティング戦略を発表した。この戦略の柱としては、アーキテクチャーのイノベーション、オールシナリオ向けプロセッサー群の提供、取り組み対象の取捨選択およびオープンエコシステムの構築が挙げられている。

(1)アーキテクチャーのイノベーション
 ファーウェイは、優れたコンピューティング能力を提供するために、自社のAIアーキテクチャー「Da Vinci Architecture」を軸に、デバイス、エッジ、クラウドなどのあらゆる分野をカバーする。

(2)オールシナリオ向けプロセッサー群の提供
 ファーウェイは、オールシナリオ向けのプロセッサー群を提供する。既に、汎用コンピューティング用の鯤鵬(Kunpeng)、AI向けの昇騰(Ascend)、スマートデバイス向けの麒麟(Kirin)、スマートスクリーン向けの鴻鵠(Honghu)という4つのシリーズがリリースされている。今後も多彩多様なプロセッサーを提供する予定だという。

(3)取り組み対象の取捨選択
 これまで通りプロセッサーを直接販売せずに、クライアント向けはクラウドサービスとして提供する。パートナー向けは部品として提供する。

 プロセッサーメインボード、AIモジュールなどのハードウエアは、パートナーに公開することでインテグレーションをサポートする。

 サーバーオペレーションシステム、データベース、AIアーキテクチャーなどのソフトウエアは、オープンソースとして提供することでパートナーの商用化ビジネスをサポートする。

 アプリケーションそのものは、自社が開発せずに、開発ツールや技術リソースを提供することで、パートナーのアプリケーションの開発や移行をサポートする。

(4)オープンエコシステムの構築
 ファーウェイは、より多くのユーザーに自社サービスを利用してもらうために、オープンエコシステムの構築を推進している。15年から沃土計画(Developer Enablement Plan)を発足。今は、130万人以上の開発者と1万4000以上のISV(Independent Software vendor)まで広がっており、今後は、世界で500万人規模の開発者を集めるために、さらに15億ドルを投入する予定という。

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