中国のシャオミ(Xiaomi、小米)が2019年、米国の雑誌Fortuneが発表している「Fortune Global 500」の468番目にランクインした。創業からわずか9年でのFortune Global 500入りは世界最速だという。なぜ驚異のこのスピードで成長できたのか。シャオミの事業戦略、価格戦略などについて解説する。

【出典】Fortuneオフィシャルサイト
【出典】Fortuneオフィシャルサイト

 ランク入りを祝うため、シャオミの創業者兼CEOの雷軍(レイ・ジュン)氏は、社員向けのメールで、シャオミの社員全員(約2万人)に1人当たり1000株を贈与するとアナウンスし、中国のインターネットで話題を呼んだ。雷氏は、「シャオミの社員に1人当たりシャオミグループの1000株を贈与する。そのうち、500株はシャオミのFortune Global 500入りを記念するもので、500株は皆さんのご家族に感謝するものだ」と贈与の趣旨を説明した。

【出典】シャオミ配下の微信(WeChat)アカウント「雷軍」
【出典】シャオミ配下の微信(WeChat)アカウント「雷軍」

シャオミとは

 シャオミとは、どんな会社なのか。シャオミは、10年4月に北京で設立され、当初の社員は中国キングソフト(金山)や米グーグル、米マイクロソフトなどの出身者13人だった。この13人は、小さなオフィスで、粟(あわ)などの雑穀で作った「小米」のお粥(かゆ)を飲みながら、会社をスタートした。シャオミのロゴ「MI」は「Mobile Internet」の頭文字であり、モバイルインターネットにフォーカスする意思を込めている。

 なお、ロゴを上下ひっくり返して見ると、漢字の「心」から点が1つ無くなっているように見える。これには、中国語の「省心」(買い物をするとき、頭を使わなくもていいという意味)のニューアンスが含まれており、「ユーザーには、シャオミの製品を楽に買い、楽に使ってもらうようにする」との意味合いもあるという。

【出典】シャオミのWeChatアカウントの動画
【出典】シャオミのWeChatアカウントの動画

 シャオミは設立当時、中国は世界の工場であるものの、「品質が良く、価格が安い良品」が少ないといった状況を打破するために、「ファンのために(Just For Fans)」をキャッチコピーに、スマートフォンの開発、販売に絞り込んだ。工場を持たず、全ての精力をユーザーとのコミュニケーションと研究開発にフォーカスすることで、製品のユーザー体験を向上させることに励み、多くのファンを獲得した。

 その後、徐々に製品範囲を拡大して、スマホ、スマートデバイスおよびIoTプラットフォームを中核にした総合的なインターネット企業に成長。18年7月に香港証券取引所に上場を果たし、同所ハイテク系IPO(新規株式公開)の史上最高値も刷新した。

【出典】シャオミのオフィシャルサイト
【出典】シャオミのオフィシャルサイト

シャオミの企業使命:良質な商品と体価格の両立

 雷氏は、19年4月25日のスマホ製品発表会で、シャオミの企業使命を説明した。「人の心に感動を届けられる、コストパフォーマンスの優れた製品を提供することにより、世界の誰でも科学技術がもたらす素晴らしい生活を享受できるようにすること」。

 「良質な商品」と「低価格」の両立とともに、イノベーションとクオリティーを重視してヒット商品を追求し続けるという宣言だ。シャオミ社内では、「シャオミがどれほど高く飛べるかは、イノベーション次第だ。シャオミがどれほど遠いところまで行けるかは、クオリティー次第だ」といった雷氏の理念が隅々まで浸透しているという。

【出典】シャオミ配下のMIUIサイト
【出典】シャオミ配下のMIUIサイト

 シャオミは、自社製品のクオリティーについて自信を見せた。19年3月、同社のスマホ「紅米Note7」を対象に、保証期間を業界で主流の12カ月間から18カ月間へ延長する制度を発足した。コストパフォーマンスのみならず、アフターサービスでも業界をリードしようという狙いが伺える。

【出典】シャオミのオフィシャルサイト
【出典】シャオミのオフィシャルサイト

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