中国BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)3社は、“三国鼎立時代”を創り出し、中国インターネットサービスに多大な影響を与えている。重点突破のバイドゥ、幅広い産業をターゲットにするアリババ、ゲームなどに強いテンセントと、3社のAI(人工知能)戦略は大きく異なる。
BAT3社のAI戦略
今回はBAT3社のAI戦略の違いにフォーカスする。前回、BAT3社の概況やミッション、創業者の背景などを押さえたので、それぞれのAI戦略も理解しやすいのではないかと思う。
バイドゥは、「オール・イン・エーアイ(All in AI)」を戦略に、「誰でもAIを(Everyone can AI)」といったモットーを掲げている。「AI時代に勝負する」という姿勢、バイドゥの未来をAIに賭けるという決意が一目瞭然だ。
自動運転車オペレーションシステム「Apollo(アポロ)」と会話式オペレーションシステム「DuerOS」に重点を置き、オープン化によってエコシステムを構築することで、該当領域のAIリーダーを目指している。
アリババは、ビジネスそのものに着眼し、AIを産業にどう役立てるかといった視点から、「産業AI(AI for Industries)」を提唱する。例えば、都市、工業、自動車、小売り、銀行、ホームなどにおいて効率向上、コスト削減、安全強化などの面でAIを生かすことに注力している。
さらに、中国トップレベルのアリババクラウドを生かして、この「産業AI」を加速させるアプローチを取る。言い換えれば「クラウドベースの産業AI」戦略によってさまざまな産業でのAI活用を図ろうとする。
テンセントは、バイドゥとアリババと比べ、AIに対する取り組みがやや後れを取っている感がある。だが、AIの活用には十分関心を持っており、「エーアイ・イン・オール(AI in all)」戦略を打ち出している。
「どこにもAIを(Make AI Everywhere)」といったモットーで、AIをインテリジェント・アシスタントと位置付け、AI技術を生かしたさまざまツールを提供する。
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