テンセントは、「エーアイ・イン・オール(AI in All)」戦略の下で、AI(人工知能)の研究開発と活用を進めている。目玉となる数少ないAIサービスの中で、AI医療画像分析とAI診療補助に取り組む医療画像AI「覓影(ミーイン)」が、政府により5つの中国次世代国家レベルのAIプラットフォームの1つとして認められ、注目度が高まっている。
「覓影」とは
覓影は、画像認識、深層学習、ビッグデータなどの技術を医療分野に応用し、がん(食道がん、肺がん、乳がん、直腸がん・結腸がんなど)の早期発見や診療補助(会話による診療案内、電子カルテマネジメント、医療リスクマネジメント)に取り組むシステムであり、テンセントのAI基盤の目玉として、中国政府によって次世代国家レベルのAIプラットフォームの一つに認定されている。
2018年9月に開かれた「上海・世界人工知能大会2018」(World Artificial Intelligence Conference)では、テンセントの最高経営責任者(CEO)の馬化騰(ポニー・マー)氏は、覓影を「インテリジェント・アシスタント」と位置付け、次のように述べた。
「テンセントは、AIをインテリジェント・アシスタントと位置付けており、AI医療画像分析とAI診療補助は、病院・医師・患者をアシストする役割を果たす。例えば、医師に効率的で正確な診断補助とスクリーニングを提供する。また、病院のニーズに合わせたスマートガイダンスなどにより、病院ガイダンスの負荷を低減することもできるようになると考えている」
医師補助の主な内容
覓影は、インテリジェント・アシスタントとして、主にAI医療画像分析とAI診療補助などの医師補助機能を持っており、以下の3つのレベルで医師を補助する。
*医師の作業時間短縮
覓影は、医師の作業のうち、簡単で重複的な作業の実施、データの整理、報告の作成などを自動化するため、医師の作業時間を大幅に短縮することができる。
*医師の作業品質向上
画像診断、定量分析、予後などの面で医師よりも診断の品質を向上する。
*医師の診療能力拡張
患者の病状に合わせた個性化治療や画像・病因・遺伝子などのビッグデータを生かしたサービスを提供し、医師では難しいいことの一部を代替する。
医師補助のプロセス
覓影は、がんの予備問診、医療画像分析、病理分析、治療プランニング・予後、治療など、診療の全プロセスをカバーしようとする。
*予備問診
医師診断の前で、患者の情報を収集し、電子カルテと合わせて医師診断のインプットとする。医師の問診時間の短縮と診断の効率化に役立つ。
*医療画像分析
患者の医療画像を分析し、識別率を向上する。機械学習技術を生かして画像スクリーニングの正確率を向上する。
*病理分析
病理ビッグデータを基に、画像識別、深層学習などの技術を生かして病理の分析を効率的に実施する。
*治療プランニング・予後
病歴、病状を踏まえてがんの全体的な治療計画を作成し、AIで予後の予測を行う。
*治療・ケア
治療プランニングに基づき、手術、化学療法、放射線療法も含めてがんの治療を実施し、その後のケアも行う。
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