バイドゥは、「中国AI(人工知能)の王者」として、中国におけるAI技術の研究開発をリードしている。代表的な成果は、自動運転基盤である「Apollo(アポロ)」だ。有人月面着陸の「Apollo計画」にちなんで名付けられたApolloは、完全オープン化により急速に成長してきている。
バイドゥは、「オール・イン・エーアイ(All in AI)」戦略の下、全力でAIに取り組んでいる。その代表的な成果が、自動運転基盤である「Apollo(アポロ)」だ。有人月面着陸の「Apollo計画」にちなんで名付けられたApolloは、完全オープン化により急速に成長してきている。「自動運転領域のAndroid」を目指し、世界的にも影響力が高まっている。このApolloを「技術」「生態」「資本」などの面から解明する。
「Apollo宣言」とは
オープン化してこそ最強になる。そしてエコシステムが繁栄してこそ、自社の利益につながる。この信念の下、バイドゥは、Apolloの持続的進化を図ろうとしている。自動車メーカーおよび自動運転領域のパートナーは、Apolloをベースに、自社のニーズに合わせて、自社なりの自動運転システムを迅速に構築することができるという。この考え方は、バイドゥが公表した「Apollo宣言」からもうかがえる。その骨子は以下の通りだ。
*自動運転技術能力をオープン化する。
これにより、自動運転エコシステムのパートナーが同じ技術への重複投資を避けて、迅速に開発することが可能となる。
*リソースをシェアする。
ApolloのパートナーがApollo技術を利用して自動運転車の開発・検証を進めると共に、自社のリソースでApolloのエコシステムに貢献する。
*イノベーションを加速する。
AI技術はデータが鍵となるため、今までのクローズドシステムより、オープンシステムのほうがより効率的に進化できる。
*持続的なWin-Win関係を構築する。
バイドゥのアルゴリズム、データ、大規模コンピューティング能力は、自動車業界と補完的な関係にあるので、パートナーがコア能力に集中することができる。
Apolloの開放ロードマップ
オープン化はApolloの命といえるほど重要であり、Apolloの持続的進化に資すると共に、Apolloエコシステムの持続的な繁栄に直結するとバイドゥは考えている。パートナーに協働してもらうために、Apolloの各種能力を開放するロードマップとリソースシェアリングロードマップを公表している。
このロードマップによると、高速道路と都市道路の自動運転技術が全面的に開放される。これが実現できれば、2021年以降は自動運転が現実のものになるだろう。
*2017年7月:クローズドエリア内の自動運転技術を開放する
*17年9月:特定車道における追跡型自動運転技術を開放する
*17年12月:単純な都市道路状況での自動運転技術を開放する
*18年12月:特定エリアの高速道路と都市道路の自動運転技術を開放する
*19年12月:高速道路と都市道路の自動運転技術力Alpha版を開放する
*20年12月:高速道路と都市道路の全面的な自動運転技術を開放する
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