バイドゥは、AI(人工知能)技術のオープン化戦略を進めている。目玉サービスとして注目を集めているのが、自動運転向けの「Apollo(アプロ)」と会話式AI「DuerOS(ドゥアーオーエス)」だ。DuerOSは、中国発の会話式AIオペレーションシステムとして、米アマゾンAlexaの牙城に挑む。
「オープン化してこそ最強になれる」という信条の下、バイドゥは、AI技術のオープン化戦略を徹底的に貫いている。同社のさまざまなAI技術の集大成「バイドゥ・ブレーン(Baidu Brain)」をベースにした、自動運転向けの「Apollo」、会話式AI「DuerOS」が、主力サービスとして急速に影響力を強めている。
DuerOSは、「Conversational AI OS for everyone and everywhere」といったミッションを掲げ、「AI時代のAndroid」と位置付けられている。Windows時代のマウス・キーボード、Android/iOS時代のタッチスクリーンの代わりに、AI時代は音声会話によるヒューマン・マシンのコミュニケーション方式へシフトするなかで、DuerOSは「すべてのものをウェイク(起動)させる」をモットーに、会話式AIオペレーションシステムを目指す。
DuerOSの技術基盤
DuerOSは、スマートフォン用オペレーションシステムAndroidと同様の考え方で、会話式AIオペレーションシステムとしてコア・プラットフォーム、スキル・プラットフォーム、アプリケーション・プラットフォームという3つの技術プラットフォームから構成されている。利用者は自社のニーズに合わせてDuerOSを無料で活用することができる。
*コア・プラットフォーム
コア・プラットフォームは、会話式システムの「ブレーン」である。音声認識、音声合成、自然言語処理、ナレッジグラフ、ナレッジ検索、深層学習、データマイニングなどの技術が含まれており、「はっきり聞き取れる、聞いてその内容が分かる、指示の意図も分かってくれて、満足できる」という目標を掲げる。コア・プラットフォームは、アプリケーション・プラットフォームに「DuerOS Conversational Service」を通じてサービスを提供し、スキル・プラットフォームに「DuerOS Bot Framework」を通じてサービスを提供する。
*アプリケーション・プラットフォーム
アプリケーション・プラットフォームは、アプリケーションを開発するためのプラットフォームであり、デバイス呼び起こしモジュール、システムアダプター、SDK(Software Development Kit)などのコア・コンポーネント、チップモジュールやマイクロホンアレーなどの開発スイートコンポーネント、インダストリアルデザインやメカニカルデザインなどのレファレンス・デザイン・コンポーネントが含まれる。これらのコンポーネントを生かして、スマートスピーカー、スマートTV、スマート冷蔵庫、音声アシスタント、スマートチップ、スマート玩具などを素早く開発することが可能になる。
*スキル・プラットフォーム
スキル・プラットフォームは、スキルを開発、テスト、展開する開発者向けのオープンプラットフォームであり、開発者は可視化されたツールを生かして素早くスキルを開発することができる。バイドゥのオリジナルスキル(チャット、音楽、映画、地図、天気、百科など)や、サードパーティーが開発したスキル(ニュース、エンターテインメント、ショッピング、ゲーム、IoTなど)も提供する。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。