バイドゥは、中国におけるAI(人工知能)のリーディングカンパニーとして注目されている。AIの将来性をいち早く見極めたバイドゥは、「オール・イン・エーアイ(All in AI)」戦略の下、中国語サーチサービスに主軸を置く「インターネットサービス企業」からAIに主軸を置く「AI企業」へと変貌しつつある。そのAI戦略の全貌について解明する。
バイドゥは、中国企業の中でいち早くAIの将来性を見極め、自社の技術優位性を踏まえて全力で「オール・イン・エーアイ(All in AI)」に取り組んでいる。「All in AI」という言葉は、元バイドゥ集団総裁兼最高執行責任者(COO)の陸奇(ルーチー)氏がバイドゥの事業全体を統括した期間中、よく使われていた。バイドゥの未来をAIに懸けようと、全力でAIに取り組むことを意味する。この「All in AI」戦略の下で、バイドゥは事実上、中国語サーチサービスに主軸を置く「インターネットサービス企業」からAIに主軸を置く「AI企業」へ変貌しつつある。今、中国大手の中でも「AI企業」と自称する企業は、恐らくバイドゥ1社しかないだろう。
バイドゥのAI開発の歩み
バイドゥは、2000年に起業してから技術型企業として成長し、中国語検索サービスや広告サービスにフォーカスしてきた。AIの将来性を見極め、早くも2010年からAI領域で布陣し始めた。13年に世界初の深層学習研究院(IDL, Institute of Deep Learning)を設立し、16年にバイドゥのAI技術を集大成した「バイドゥ・ブレーン(Baidu Brain)」を、17年に自動運転プラットフォーム「Apollo」、と会話式プラットフォーム「DuerOS」をリリースし、中国AI領域のリーディングカンパニーとしての位置を固めた。
ABC Inspire技術体系
バイドゥは16年にAI、ビッグデータ(Big Data)、クラウドコンピューティング(Cloud Computing)を融合した「ABC Inspire」と呼ぶ技術体系を提唱し、「Everywhere can ABC、Everyone can ABC」というミッションを掲げてきた。16年から年に1回、ABC Inspireのコミュニティーとして「ABC Summit」を開催し、ABC Inspireの研究開発状況や活用事例などを国内外にアピールしてきた。
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