アリババのジャック・マー会長は2014年、「人類はIT時代からDT(データ・テクノロジー)時代へシフトしている」と断言。このDT時代には、データを持つ企業しか生きていけないとした。DT時代を勝ち抜くためのアリババの目玉サービスが「ETブレーン(ET Brain)」だ。

アリババのETブレーンとは

 アリババは、アリババならではの膨大なデータを武器に、自社業務で積み重ねたノウハウをベースとして、ビッグデータやAI(人工知能)の活用をサービスとして外部に提供してきた。その目玉サービスは、クラウドコンピューティングとビッグデータ、AIなどを融合したスーパー・インテリジェンス「ETブレーン」だ。今回は、ETブレーンの全体像とその最新動向を解明する。

 ETブレーンは「Evolutionary Technology Brain」の略称で、高度な技術をもって、都市問題や環境問題、社会格差問題など社会とビジネスにおける難題を解決するための総合的なAIプラットフォームだという。「ET」は、アリババが16年に発表した自社の音声認識、画像認識などのAI技術を代表するブランドだ。「ブレーン」は、文字通り物事を分析・判断する頭脳を意味している。ETブレーンは、アリババのスーパー・インテリジェンスの一つと位置付けられ、画像処理、音声処理、自然言語処理、ニューラルネットワーク、クラウドコンピューティング、ビッグデータなどさまざまな技術を融合し、「単品的なインテリジェンス」から「全方位的なインテリジェンス」への突破を実現しようとする。

【出典】アリババクラウドオフィシャルサイト「aliyun.com」
【出典】アリババクラウドオフィシャルサイト「aliyun.com」

 ETブレーンは、IaaS(Infrastructure as a Service)の形でアリババのAI能力を外部利用者に提供し、アリババが提唱した「産業AI(AI for Industries)」の最終形になりつつある。個別の業界に特化して、センサーデータ、映像データ、パソコンデータ、スマホデータなどのデータを融合し、各産業が抱える問題を解決するために活用する。

【出典】アリババ2018年杭州・雲棲大会(The Computing Conference 2018)」講演資料
【出典】アリババ2018年杭州・雲棲大会(The Computing Conference 2018)」講演資料

 ETブレーンは、産業のデータソースプラットフォームとして、ありとあらゆるデータを収集し、データ処理のアルゴリズムに基づき、スタンダードデータ、ピュアデータ、インテリジェントデータへ仕上げる。ETブレーンを利用することでデータの処理規模、処理速度が格段に向上するとともに、データの利用価値を大幅に高めることが可能だという。

【出典】アリババ2018年杭州・雲棲大会(The Computing Conference 2018)」講演資料
【出典】アリババ2018年杭州・雲棲大会(The Computing Conference 2018)」講演資料

 ETブレーンは、「産業AI」戦略の下、産業に特化したサービスを提供する。現時点では都市、工業、医療、環境、航空、金融などの業界に向けて細分化したETブレーンがリリースされている。

【出典】アリババクラウドオフィシャルサイト「aliyun.com」
【出典】アリババクラウドオフィシャルサイト「aliyun.com」

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