アリババが注力する産業AI(人工知能)分野をさらに切り開いていくためには、自社の力だけではまだまだ足りない。そこでアリババは社内外のリソースを生かして「AIエコシステム」の形成を図ろうとしている。前回に続き、アリババAIの全体像と最新動向を解明する。
アリババのAIエコシステム
【アリババ社内独自のAI部隊】
アリババ社内独自のAI部隊は、主に達摩院のAI関連ラボから構成されている。例えば、マシン・インテリジェンス領域の音声ラボ、視覚ラボ、言語技術ラボ、意思決定知能ラボ、シティー・ブレーンラボ、データ・コンサルティング領域の知能計算ラボ、およびXラボ領域の人工知能ラボなどが含まれている。
そのうち、人工知能ラボ(Alibaba AI Labs)は、「マシンに知能を与える」というミッションを掲げる。次世代のヒューマン・マシン・コミュニケーションの入り口を開き、AI人工知能でマシンへのエンパワーメントを図ろうというもので、アリババのAI研究開発の核心ともいえる。
同ラボは、スマートスピーカーの「天猫精霊(ティェンマオジンリン)」、スマート・コミュニケーション・オープン・プラットフォーム「AliGenie」、自動車向けの音声アシスタント「Tmall Genie Auto」、ホテル向けの移動ロボット「Tmall Genie Space Egg」、医療向けの薬品配送ロボット「TmallGenie Space Shuttle」、および自動運転車などをリリースしている。
【アリババのジョイントラボ】
ジョイントラボは、国内外の大学の研究開発力とアリババの業務データや利用シーンを相互補完し、イノベーション型人材の育成と技術のビジネス化を促進する目標を掲げている。現在、浙江大学、清華大学、南洋理工大学、中国科学院、交通運輸部などとのジョイントラボを運営しており、少なくとも100件以上のプロジェクトが進められている。
【アリババのAI専門パートナー】
アリババは社外のAIリソースをフル活用するため、できるだけAI技術の各領域で先頭を走るテクノロジー企業と手を組むようにしている。既に多くのAI専門会社がアリババのパートナーとして機能している。例えば、画像・映像認識領域の図普科技(TUPUTECH)、曠視科技(Megvii/Face++)、依図科技(YITU)、商湯科技(SenseTime)、極鏈科技(Video++)。音声認識領域の科大訊飛(iFLYTEK)、思必馳(AISPEECH)。文字・OCR識別領域の漢王科技(HANVON)。組み込みAI技術領域の地平線機器人(Horizon Robotics)。データ分析領域の易数科技(GrowingIO)、第四範式(4Paradigm)。AIチップ領域の寒武紀科技(Cambricon)など、中国のAI分野におけるトップクラスの企業がそろっている。
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