「TikTok対Facebook、20代がよく起動するSNSアプリはどっち?」と尋ねられたら、あなたはどう答えるだろうか? インターネット行動ログ分析サービスを提供するヴァリューズ(東京・港)で、「流行していると感じるSNS」とその理由についてのアンケート結果と、実際のSNSアプリ利用動向とを照らし合わせてみた。
近年、SNSがきっかけで一躍有名になったタレントや歌手、商品は数知れず。2021年暮れには多くの情報番組で「TikTok流行語大賞2021」が紹介され、TikTokは人気SNSの一角として市民権を得た感がある。
とはいえ、世間的には若いと言われるアラサー世代の筆者は、このTikTokブームに乗れているとは言えず、親戚の大学生に「Facebookはおじさんがやるものでしょ?」と言われてギクッとした、そんな状況だ。
このSNSの「流行」「人気」というものは、性別や年代を超えて一般化したものなのか、あるいは特定層に特化した現象なのか。気になるのは、意識と実態が合致しているのかどうかだ。例えばメディアで最近よく取り上げられている食品Aについて、「流行していると思う」ことと、「実際に食べたことがある」の間には、大差がある場合とイコールに近い場合とがある。前者であれば浸透はこれから。場合によっては浸透前に失速する可能性もある。後者なら本当のブームだ。
そこで、意識についてはアンケートで、実態についてはSNSアプリ起動データから探ってみた。今回、調査対象にしたSNSアプリは、Facebook、Instagram、Twitter、TikTokの4つ。アンケートは2022年2月2~14日に実施。アプリ起動データは同年2月の1カ月間のデータを使用した。
まずアンケートの結果を見ていこう。1問目は、「流行していると感じるSNS」(複数回答可)。全国20~70代の調査モニター2万7850人のうち、43.6%がInstagramを選び、次いで39.6%がTikTokを挙げた。Twitterは29.0%と3割を切る水準。Facebookは10.7%とギリギリで2桁パーセントを保った。4割前後の得票があったInstagramとTikTokが流行している(と感じる)SNSの2強ということになる。
性・年代別に見ると、流行をリードしている世代が分かる。InstagramとTikTokの数字を押し上げたのは20代女性だ。反対に60代以上は男女とも数字は低迷。60代男性は、Facebookでのみ数字を押し上げる側に回っていた。Facebookは4つのSNSの中で数字が最も低く、けん引役が60代男性であることから、「おじさんが使っているもの」「オワコン」という声が上がるのも、むべなるかなである。
続いて尋ねたのは、1問目で挙げた「流行していると感じるSNS」について、「なぜ流行していると感じるのか?」。この設問では、流行トップ2のInstagramとTikTokで回答の傾向に違いが見られた。
流行していると感じる理由について多く上がったのは両SNSとも、「若者がよく使っているイメージがあるから」。特にTikTokは60.0%と突出していた。一方、「周囲の人がよく使っているから」を挙げた人は、Instagramが22.7%に対し、TikTokは7.6%にとどまった。Instagramは身近に使っている人がそこそこいるが、TikTokはまだそのレベルではない。
ここからは、ヴァリューズが保有する調査パネルのアプリ起動ログデータを用いて、実際のアプリの使われ方を見ていく。22年2月の各アプリ起動状況から、年代別に日本のネット利用人口に則して起動人口を拡大推計すると、意外な事実が明らかになった。
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