日経トレンディ「ヒット商品ベスト30」で2021年の6位にランクインしたマリトッツォは、21年下期にはブームが退潮していた。これと対照的なのが、爆発力はないものの安定した人気を維持しているピスタチオだ。両者の差はどこにあるのか? ネットユーザーの検索動向から考察する。

2022年4月、東京駅構内の商業施設「エキュート東京」で、「はるいろピスタチオフェア」が開催された
2022年4月、東京駅構内の商業施設「エキュート東京」で、「はるいろピスタチオフェア」が開催された

 日経トレンディの恒例企画「ヒット商品ベスト30」で2021年の6位にランクインした「マリトッツォ」。ブリオッシュなどのパンにたっぷりの生クリームを挟んだイタリア発祥の伝統的な洋菓子が、21年一躍大ヒットした。だが、人々の興味関心度合いを如実に反映する検索者数に着目すると、マリトッツォ人気は21年上半期がピーク。下半期には下り坂に入っていた。

2022年4月20日にローソンストア100で発売された「マリトッツォ キャラメル風味ホイップ」
2022年4月20日にローソンストア100で発売された「マリトッツォ キャラメル風味ホイップ」

 比較対象として、話題性でマリトッツォほどの爆発力はなかったものの、以前から安定した人気でスイーツ商品が展開されていた「ピスタチオ」の検索者数をグラフ化してみた。分析には、毎月更新される行動データを用いて、競合サイト分析やトレンド調査ができるヴァリューズ(東京・港)のWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を使用した。

「マリトッツォ」と「ピスタチオ」の検索者数の推移
「マリトッツォ」と「ピスタチオ」の検索者数の推移
期間は2021年1月~2022年3月

 マリトッツォはほとんど無名だった21年1月から半年足らずで急速に認知され、入力しづらい文字列にもかかわらず21年6月には検索者数が40万人(推計、以下同)を超えた。しかしながら翌7月から検索者数は下降に転じ、一度も前月を上回ることなく22年2月には5万5000人にまで減少している。これは21年3月の7万8200人を下回る規模だ。

 一方のピスタチオは、21年1月時点で10万人超の検索があった。その後、ピスタチオを用いたスイーツなどが話題になった際に検索者数が増えるといったアップダウンを経て、22年2月の検索者数は13万人と、微増で推移している。

検索者の性別
検索者の性別
期間は2021年1月~2022年3月

 マリトッツォとピスタチオ、何が違うのか? 検索者の性別を調べると、マリトッツォは女性比が68.5%に対し、ピスタチオは同70.9%。また年代別に見ると、ピスタチオは検索者に占める20代の比率がマリトッツォよりやや高く、反対にマリトッツォは検索者に占める40~50代の比率がピスタチオのそれを上回る結果だった(21年1月~22年3月)。少々の違いはあるが、ブーム収束と安定した人気の差を示すような材料はない。

検索者の年代
検索者の年代
期間は2021年1月~2022年3月

 そこで、検索時の掛け合わせワードを可視化する「ワードネットワーク」を見ると、マリトッツォ側に気になるワードがあった。

この記事は会員限定(無料)です。

31
この記事をいいね!する