日経クロストレンドは、2020年10月から12月にかけて3カ月連続で検索者数が増加している検索ワードの平均上昇率ランキングを算出した。20年夏に検索者が一時増えたネスレ日本(神戸市)の麦芽飲料「ミロ」が12月に再び急増していた。

2020年9月には5本入りの個包装タイプも発売
2020年9月には5本入りの個包装タイプも発売

 分析に当たっては、インターネット行動データ分析サービスを提供するヴァリューズ(東京・港)からデータ提供を受けた。同社は、国内250万人規模のユーザーパネルを保有し、Web利用動向データを基にネット行動分析サービスを提供している。

 20年9月から11月にかけて3カ月連続で検索者数が増加した検索ワードの平均上昇率ランキングは、「はやぶさ2」や、アスベスト混入でニトリが回収に動いた「珪藻土」など、ニュースのトピックが上位を占めた。そんな中、編集部が注目したのが、月平均上昇率109.9%で17位に付けた「ミロ」だ。

「ミロ」検索者数の推移
「ミロ」検索者数の推移

 上図は、20年1~12月の「ミロ」検索者数の推移だ(20年1月を100とする)。6月までは微増と微減を繰り返していたが、7~8月に突如、検索者数が1月比で3倍を超えた。きっかけは、ある一般Twitterユーザーのツイートだった。

 「貧血の皆さまー。ミロ飲んでみてくださいー! 鉄分が平均の1/7しかないと指摘された私でも、ミロ飲んだら平均値になりましたー!」

 20年7月のこのツイートが次々とリツイートされ、ネスレ日本が運営するVOCセンターのTwitterアカウントも、「ミロをお飲みいただきありがとうございます!ぜひこれからも栄養チャージにご活用くださいませ☆」とリプライ。「飲んでみたい」「子供の頃よく飲んだなー」「まだあったんだ(笑)」など大きな反響を集めた。

 「懐かしい」という言葉が多く上がったように、ミロは「子どもの成長に必要な栄養素をしっかり」をコンセプトとする、成長期の子供の栄養補給を主目的にした飲料。国内で発売が始まった1973年当時のキャッチフレーズは「強い子のミロ」だった。近年は成長期の子供だけでなく、女性に不足しがちな鉄分や、吸収されにくいカルシウムの吸収を助けるビタミンDなど、大人にも必要な2種類のミネラルと6種類の栄養素を含む麦芽飲料をうたっている。

 特に鉄分については、月経のある20~40代女性の1日当たり必要量が10.5ミリグラム(厚生労働省「日本人の食事摂取基準」2020年版)なのに対し、成人女性の平均摂取量は7.3±2.7ミリグラム(厚生労働省「国民健康・栄養調査」2016年)と不足している。ミロ15グラムを牛乳150ミリリットルに溶かして飲んだ場合、含まれる鉄分はちょうど3.2ミリグラムになるため、ミロ1杯で不足分を補えるという裏付けがツイートの拡散に拍車をかけた。

「ミロ」検索者の男女比、年代構成
「ミロ」検索者の男女比、年代構成

 ただ、ミロはビタミンやミネラルの栄養成分を表示した「栄養機能食品」で、貧血に効くといった効能はうたえない。それでもこうした公開情報が、鉄分不足を自覚する女性を中心に説得力を持って響いた格好だ。「ミロ」検索者の男女比は女性が6割。30~40代が過半数を占める。

 ツイートをきっかけに情報番組が話題に取り上げたことで売り上げが伸び、20年9月末には袋入りタイプ商品の販売を一時休止した。供給体制を整えて同年11月16日から販売を再開したが、販売休止と再開のニュースで人気がさらに加速。数量ベースで前年比約7倍の注文が続いた。同年12月の「ミロ」検索者数もツイート以前の約20倍。検索からの流入先は、ネスレのサイトのほか、同社のECサイト、Amazon.co.jp、楽天市場など、購入に向かっていた。

 供給計画をはるかに上回ったことで、ネスレは同年12月8日に再度販売を休止した。再開は21年3月以降になる見込みという。