日経クロストレンドは、2020年9月から11月にかけて3カ月連続で検索者数が増加している検索ワードの平均上昇率ランキングを算出した。燃料電池自動車に燃料となる水素を補給する「水素ステーション」の検索者数が20年の春先から増え始め、11月に急増した。

整備が進む水素ステーションだが、設置数は2020年12月時点で全国135カ所(写真/Shutterstock)
整備が進む水素ステーションだが、設置数は2020年12月時点で全国135カ所(写真/Shutterstock)

 分析に当たっては、インターネット行動データ分析サービスを提供するヴァリューズ(東京・港)からデータ提供を受けた。同社は、国内250万人規模のユーザーパネルを保有し、Web利用動向データを基にネット行動分析サービスを提供している。

3カ月連続で検索者数が増加した検索ワードのランキング
3カ月連続で検索者数が増加した検索ワードのランキング

 2020年9月から11月にかけて3カ月連続で検索者数が増加した検索ワードの平均上昇率ランキングは、米大統領選関連ワードが上位を独占した(1、3、5、6、9、14位)。2位は日程が11月にズレ込んでソフトバンクホークスが巨人に圧勝したプロ野球「日本シリーズ」。ジル・サンダーとのコラボライン「+J(プラスジェイ)」を9年ぶりに復活させたユニクロも、発売日の11月13日にオンラインストアがつながりにくくなる人気で検索者数を増やした(13位)。そんなランキングの中から編集部が注目したのが、月平均上昇率68.9%で42位に付けた「水素ステーション」だ。

「水素ステーション」検索者数の推移
「水素ステーション」検索者数の推移

 水素ステーションとは、水素から作った電気で走る燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle)に水素を充填する、水素版サービスステーション(ガソリンスタンド)のこと。FCVへの水素充填は1回当たり3分程度で可能だ。

20年12月9日に発売されたトヨタ自動車の燃料電池車(FCV)新型「MIRAI(ミライ)」
20年12月9日に発売されたトヨタ自動車の燃料電池車(FCV)新型「MIRAI(ミライ)」

 水素ステーションに注目が集まったきっかけは、トヨタ自動車の新型FCV「MIRAI(ミライ)」が20年12月9日に発売になったことだ。14年の市販開始から6年ぶりのフルモデルチェンジで、走行性能が大きく向上。水素の搭載量が4.6kgから5.6kgに増え、航続距離は650kmから約850kmに伸びた。50年に温暖化ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げた政府としても、二酸化炭素(CO2)を出さないFCV、その代表格である新型ミライは究極のエコカーとして期待がかかる。

 普及のネックになっているのが、車両価格の高さと、水素ステーションの整備の遅れだ。初代ミライの世界販売台数は20年9月時点で約1万1000台(国内は約3700台)にとどまる。740万円(税込み)だった初代ミライに対して2代目は710万(同)からと価格を抑え、クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金などで約140万円の優遇が受けられるとはいえ、570万円を超える買い物になる。また25年度に全国320カ所を予定している水素ステーションも、20年12月で稼働中は135カ所。2020年度までだと計画中の27カ所を含めても162カ所で、都市部が中心のため16県にはまだ1カ所もない状態だ(4県は計画中が各1カ所あり)。

この記事は会員限定(無料)です。

1
この記事をいいね!する