外食各社が発表する既存店売上高の前年比はコロナ禍でどう推移したか。コロナがむしろ追い風になったのがチキン・バーガー系の店舗だ。店内飲食のマイナス分を、家族向けのテークアウトが補った。一方、店内飲食が大半の回転寿司チェーン、ファミリーレストランは苦戦を強いられた。

日本ケンタッキー・フライド・チキンが2020年8月21日から期間限定で販売を開始した「30%OFFバーレル」
日本ケンタッキー・フライド・チキンが2020年8月21日から期間限定で販売を開始した「30%OFFバーレル」

 コロナ禍でマイナス影響を受けた業種として旅行とともに名前が挙がる外食。「一時休業」の張り紙が「閉店のお知らせ」に変わってひっそりと撤退する例が、個人店を中心に後を絶たない。ただ、一口に外食が厳しいといっても、そこには相当な温度差があるのも事実。実はコロナ禍にあっても前年同月比の売り上げを伸ばしている店がある。

 コロナ禍で強さを見せつけたのが日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)。各社が苦しんだ2020年3~5月、KFCの既存店売上高前年比は、3月108.2、4月133.1、5月137.6と前年を大幅に上回った。

KFC、マクドナルド、モスバーガーの既存店売上高前年比の推移
KFC、マクドナルド、モスバーガーの既存店売上高前年比の推移

 6月は99.0とわずかに前年を下回ったが、これは19年6月のセールの影響だ。19年6月12日から創業日の7月4日まで、通常価格1230円のオリジナルチキン5本ピースを1000円で販売する「創業記念パック」を限定販売した。20年の創業記念パックは7月1日からの7日間の限定発売だったので、7月の既存店売上高が126.0と伸びる要因になった。

 KFCは、18年7月からたびたび期間限定で販売していた500円ランチを、2020年1月からレギュラーメニュー化。オリジナルチキンにビスケット、ドリンクS、ポテトSがついて500円(税込み)というリーズナブル価格で、これまで主要顧客層だった家族客以外にもアピールし、ランチ帯の売り上げを伸ばした。

 そしてコロナ禍を迎えると、もともと強みとしていた家族客が、一斉休校や在宅勤務で自宅にいることから購入頻度が増えることになった。「オリジナルチキン4ピース」「カーネルクリスピー6ピース」「骨なしケンタッキー4ピース」「ナゲット15ピース」の4種類のうち2種類を選べる「シェアBOX」(1500円)など、家族客に向けた期間限定商品も発売し、好評を得た。もともと売り上げの約7割が持ち帰りだったこともあり、KFCにとってコロナはむしろ追い風になった。

 日本マクドナルドも強さを見せた。20年4月29日から5月14日にかけて、全国の全店舗(約2900店舗)で店内客席の利用を終日中止したが、5月の既存店売上高は前年比115.2。客数は20.7%減と大きく減らしたが、客単価が45.3%増と大幅に伸び、差し引き大幅増となった。KFCと同様、家族向けの利用を伸ばしたことで、イートイン閉鎖のマイナスを乗り越えた。

 同社は、19年4月から一部店舗で試験導入していた、スマートフォンアプリで商品の注文から支払いまでができるモバイルオーダーを20年1月28日から全国導入して、コロナの感染拡大に備える格好になった。行列しなくて済むモバイルオーダーは、密を避けたい消費者心理に合致する。さらにウーバーイーツも活用。17年6月に都内33店舗で導入して以降、対象店舗を増やし、全国19都府県の900店舗で利用できる(20年6月時点)。多様な購入ルートの確保がコロナ禍で威力を発揮した。