日経クロストレンドは、位置ゲームアプリ「ポケモンGO」と「ドラゴンクエストウォーク」のユーザー数推移を調査した。新型コロナ禍で不要不急の外出自粛が呼びかけられた2020年3~4月、自宅で楽しめるようにしたことで、ユーザー減少を食い止めた。
分析に当たっては、インターネット行動データ分析サービスを提供するヴァリューズ(東京・港)からデータ提供を受けた。同社は、国内30万人規模のユーザーパネルを保有し、Web利用動向データを基にネット行動分析サービスを提供している。このうちスマートフォン利用者パネルのインストールアプリと起動状況から、「ポケモンGO」および「ドラゴンクエストウォーク」(以下、DQウォーク)アプリの利用者数を推計した。
DQウォークのアプリがリリースされた2019年9月のポケモンGOユーザー数を100として推移を描いたグラフが上図。16年7月にリリースされたポケモンGOは、DQウォークにユーザーを奪われることなく、むしろDQウォークのリリースが刺激になって前月(19年8月)より7.8%増加。DQウォークはポケモンGOの6割弱のユーザー規模でスタートを切った。以降、20年2月のポケモンGOは19年9月から13.8%減。DQウォークは同36.6%減と、両アプリともユーザー数は漸減した。
中国・武漢およびクルーズ船内の出来事という印象だった新型コロナウイルスの感染拡大が国内で本格化したのはここからだ。2月末から小中高等学校が臨時休校となり、「不要不急の外出を控えるように」「ステイホーム」の呼びかけが政府や自治体の首長から発せられるようになった。外出の自粛は、街中でスマホ画面に現れるキャラクターを捕獲したり倒したりしてポイントを稼ぐ仕様の位置ゲームアプリにとって死活問題だ。
この変化を受けて、アプリ提供社は「新しいゲーム様式」を提供した。
ポケモンGOを運営する米ナイアンテックは、自宅での運動や掃除などの運動量を歩数に反映させ、ポケモンを捕まえる「モンスターボール」を外出しなくても入手できるようにした。また、ポケモンを呼び寄せるアイテム「おこう」の効力を強めたり、他のプレーヤーと一緒に戦う「レイドバトル」に離れた場所からでも参加できる「リモートレイドパス」を実装したりと、“おうち”でもプレイできる環境を整えた。
DQウォークを提供するスクウェア・エニックスも在宅対応に取り組んでいる。モンスターを倒してレベルアップし、選んだ目的地にある「クエスト」をクリアするゲームだが、モンスターを呼び寄せる「においぶくろ」や目的地を自由に設定できる「導きのつばさ」などのアイテムを配布し、自宅でモンスターを出現させて外出せずにクエストへの挑戦を可能にした。
こうしたステイホーム対応を進めたことで、ポケモンGOの3月のユーザー数は前月比4.6%減、DQウォークは同4.3%減と微減にとどまった。緊急事態宣言が発令された4月も前月比横ばいで、ユーザー大幅減に陥りかねない危機を食い止めた格好だ。
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