ヤフーのECモール「Yahoo!ショッピング」の2019年6月の購買データをランキング化した結果、忘れ物防止タグ「Tile Mate」の売り上げが急増していた。IoTを活用した忘れ物防止タグとして注目を集めた商品だが、普及によって目新しさはそれほどない。なぜこのタイミングで売り上げが急増したのだろうか。
下表は、前月比で注文数が急増した商品のランキングだ。注目は6位のTile Mateで、前月比262倍の売り上げを記録した。
Tile MateはいわゆるIoTを活用した忘れ物防止タグの一種で、スマートフォンのアプリと連携した後に、財布や鍵などに取り付けて利用する。対象物を忘れたりなくしたりした際、45メートル以内であれば、手持ちのスマホのアプリを操作すると、Tile Mate本体からブザーが鳴り、見つけられる。対象範囲外であっても、最後に通信をした場所が地図上で確認できるため、紛失した場所が見つけやすい。
反対に、スマホをなくしたときはTile Mate本体のボタンを2度押すと、マナーモードであってもスマホを鳴らして見つけられる。
販売元のSB C&S(東京・港)は19年5月中旬の価格改定による大幅な値下げを急伸の理由に挙げる。販売量の増加により量産体制が整い、製造コストを抑えることができた。Tile Mateはグローバルで販売しているが、相対的にみて日本は普及率が低いという。そこで、日本でのさらなる普及を狙い、戦略的に日本国内での販売価格の引き下げに踏み切った。Tile Mate(電池交換版)を従来価格より約4割安い1980円(税込み)に、4個パックも同様に値下げした。
加えて、19年6月1日に健康情報バラエティー「100まで楽しむつもりです」(テレビ朝日系列)で紹介された。これらの要因によって、売り上げが大幅に増加し、ランキングの上位に入った。
父の日限定ギフトセット ヒットの裏にECマーケティング戦略
19位には、日本酒「上善如水」の飲み比べセットが入った。販売する白瀧酒造(新潟県湯沢町)では毎年、父の日限定で3000~4000円の小瓶アソートをギフトセットとして打ち出している。19年は原酒・山廃仕込・貴醸酒など珍しい日本酒6本をセットにした。銘柄は上善如水で統一。1本180ミリリットルと少量のため、1日に数本飲み比べもできそうだ。
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