アウトレットの柔軟剤の売り上げが前月比500倍に。日経クロストレンドがヤフーの協力を得てECモール「Yahoo!ショッピング」の2019年3月(19年2月21日~3月20日)の購買データをランキング化した結果、こんな実績が浮かび上がった。柔軟剤のアウトレットとはどのようなもので、なぜ急に売れたのだろうか?
下表は、前月比で注文数が急増した商品のランキングだ。1位は、柔軟剤「ソフラン」アウトレット品の詰め替え用セットで、前月比500倍以上と急激な伸びを示した。アスクルが、ヤフーの協力を得て展開するネット通販サービス「LOHACO」のYahoo!店で販売した商品だ。6位と11位にもそれぞれ、LOHACOで販売したアウトレット柔軟剤とボディーソープが入っており、それぞれ前月比約100倍以上も売れている。
LOHACOで販売しているアウトレット品は、パッケージや成分の変更などによって旧品になったもので、メーカーと協力して販売しているという。旧商品はこれまで、まとめ買い向けに安売りされたり、廃棄処分されたりするケースが多かった。「廃棄処分を減らしたい」というメーカー側と、「安く購入したい」という消費者側の双方にメリットがあると考えて、アウトレット品として販売を始めた。
ただし、“単なる安売り”では、メーカーのブランドを傷つける恐れがある。そうならないよう、LOHACOでは、ブランドページを作り、丁寧にストーリーを伝えたり、旧品と新商品を組み合わせてセール価格にしたりすることで新規顧客の獲得につなげるといった工夫を実施。「ブランド価値を毀損しない、アウトレット品販売に取り組んできた」と、アスクルの担当者は話す。
また、LOHACOは「Yahoo!プレミアム」会員向けに、期間限定で送料無料クーポン5万枚を配布した。LOHACOの商品は、1回の購入が3780円未満だと送料(540円)がかかるが、このクーポンを使えば、3780円未満でも送料が無料になった。このクーポンも安価なアウトレット品の購入増加に貢献した。
柔軟剤やボディーソープといったアウトレットの日用品は、1点当たり500円前後と低価格だが、クーポンを使用することで1点、または数点の購入でも送料がかからない。特に新規顧客からの受注が大幅に増加したという。Yahoo!ショッピングの有料広告を出稿したことも、受注拡大に貢献した。また、アウトレット品以外にも、お米やサントリービールの第3のビール「金麦」、明治のプロテイン「ザバス」などの売り上げも急上昇する成果にもつながった。
その一方、送料無料クーポン配布の影響で、3780円未満での注文も多かった。そのため「通常時よりもオーダー平均単価は低い」という課題も明らかになった。
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