日経クロストレンドは、2018年8月から11月にかけて3カ月連続で検索者数が増加しているキーワードを抽出し、平均上昇率のランキングを算出した。作業服の販売チェーン「ワークマン」の新業態店「WORKMAN Plus」が話題になったことで、「ワークマン 店舗」の検索者数が伸びた。
分析に当たっては、インターネット行動データ分析サービスを提供するヴァリューズ(東京・港)からデータ提供を受けた。同社は、国内25万人規模のユーザーパネルを保有し、Web利用動向データを基にネット行動分析サービスを提供している。
検索者数が増えているワードを抽出するに当たり、例えば「年賀状」「クリスマス」など昨年も同時期に同様に伸びている季節性の高いワードや、最終回に向けて検索数が増えやすいテレビドラマなどエンターテインメント関連のワードは排除した。
検索者数の上昇率1位は「2019年祝日」。皇太子さまが即位する5月1日を祝日とする法案が閣議決定され、ゴールデンウイークが10連休になるというニュースが検索を誘発した。5位にインフルエンザの新薬「ゾフルーザ」、6位に「ムンク展」、8位に心拍や運動量、睡眠などを測るウエアラブルデバイスの最新版「Fitbit Charge 3」など話題の商品、イベントがランクインした。
そんな中、編集部が注目したのは、ランキングは59位ながら月平均上昇率54%の伸びをみせた「ワークマン 店舗」だ。ワークマンは、作業服・作業用品の大手小売りチェーン。店舗の所在地を調べて来店する意欲がうかがえる検索ワードである。
上図は、2017年12月から18年11月までの「ワークマン」および「ワークマン 店舗」の検索者数の推移をグラフ化したものだ。17年12月の「ワークマン」単体の検索者数を100として、その伸びを示している。「ワークマン」単体の検索者数は1年で3.2倍増、「ワークマン 店舗」は同6倍超と大幅に増えた。
ワークマンといえば、工事・工場など現場作業員向けの“ガテン系”作業服のイメージが強く、「やる気ワクワク」と吉幾三が歌うテレビCMのフレーズが今も耳に残る。だが近年、ワークマンの防寒着がその防寒性と安さでバイクに乗る人たちに支持され、その評判が釣りや登山の愛好家などアウトドア派に広がりつつあった。この動きを受けて同社は、作業着のカジュアル化を進め、一般客向けの新ブランドを3種類立ち上げた。アウトドア用の「FieldCore」、耐久性・撥水(はっすい)性を強化したスポーツ用の「Find-Out」、透湿・防水機能を持つ雨具「AEGIS(イージス)」がそれである。
そして18年9月、一般向けウエアに特化した新業態店「WORKMAN Plus」の1号店をショッピングモール「ららぽーと立川立飛」に初出店。これが各種ニュースで報じられ、検索者数が一気に伸びた。スポーツウエアブランドを取りそろえる店舗は点在するものの、アウトドアのライトユーザーに向けてお手ごろ価格の機能性ウエアを販売する店は意外な穴場だったと言える。
ワークマン+店舗の検索者を17年12月と18年11月で比べると、大きく変わったのが男女比と年齢層だ。17年12月は男性の検索者が9割を占めていたが、18年11月は女性が32.2%と3人に1人の割合にまで増えた。また17年12月は60歳以上の検索者が50.8%と過半数に上っていたが、18年11月の60歳以上は37.8%まで減り、若返りがみられる。
WORKMAN Plusは、18年11月に2号店「川崎中野島店」、3号店「ららぽーと富士見店」、12月に4号店「等々力店」を出店済み。3月末までにららぽーと甲子園など4店の出店も決まっている。19年9月までに35店舗の出店を予定している。出店が進むにつれ、「ワークマン 店舗」で所在地を確認する検索者が増えそうだ。
(写真提供/ワークマン)