10月最終日は日本でもすっかりイベントとして定着した「ハロウィン」。実はその1カ月以上前の9月から、既にクリスマス商戦が動き始めていた。舞台は今夏にサービス開始5周年を迎えたフリアマプリ「メルカリ」だ。
日経クロストレンドはメルカリの協力を得て、2018年9月の出品から出品名や商品の説明に「クリスマス」の記述があるものを抽出し、押された「いいね!」数が多い順にランキングした。いいね!数は、購入候補に加えるという意味合いがあり、購入意欲が高い商品とみることができる。
18年9月と17年9月のクリスマス関連出品のいいね!数上位ランキング30を算出した(具体的な商品・ブランド名はカットしている)。まずパッと見て分かるのが、18年9月は前年に比べて明らかに「クリスマスツリー」の出品に対するいいね!数が多い、すなわち引き合いが強いということだ。18年9月のいいね!数ランキングトップ30にクリスマスツリー系商品は16点。17年9月と比べると倍の差がある。
ハロウィンもまだ1カ月以上先という9月時点でクリスマスツリー人気が高まった理由の1つとして考えられるのが、クリスマスツリーにハロウィン用の装飾を付けて部屋のインテリアにする「ハロスマス」需要だ。

ハロスマスを提唱したのは、家具・インテリア販売チェーン大手のニトリ。「大きなツリーをクリスマスの期間だけ飾るのはもったいない」──。そんなニーズに応えるべく、同社は18年8月中旬から、オーナメントを変えるだけでハロウィンからクリスマスまでの長きにわたって部屋を楽しく彩ることができるハロスマスツリーを発売。ハロウィン用のツリー装飾の他、カボチャや魔女の置物、リースなど各種グッズを取りそろえて、ハロウィン仕様のお部屋空間づくりを提案している。
今年はクリスマスグッズが店頭に並ぶ頃になったら新規にツリーを購入、あるいは買い替えようと考えていた人が、ニトリのハロスマス提案を見て感化され、必要なもの、欲しいものだけをネットで調達しようとリサーチに動いた結果が、このツリー需要の早期化につながったものと思われる。
ハロウィン市場は年々伸び続けてイベントは盛り上がりを見せているものの、商品展開が仮装コスチュームなど限定的なため、中高年層に広がっていきにくいという課題がある。その点、ツリーを軸に部屋の装飾が定着しているクリスマスをハロウィンと連結させて、前倒しで需要を開拓しようという試みは非常にユニークだ。