クリステンセン教授は『イノベーションのジレンマ』に続く一連のイノベーション関連の書籍の『イノベーションへの解』『イノベーションの最終解』で、破壊的イノベーションについて、「ローエンド型」と「新市場型」の2種類に分けて議論している。今、注目されるのが、新たな市場を生み出すと期待される「新市場型」だ。

  「ローエンド型」では、市場を占める既存の大企業群と対抗しながら、過剰満足で過保護にされた顧客を低コストのビジネスモデルで攻略します。もう1つの「新市場型」は競合する既存の大企業群からではなく、ユーザーが消費しない状況「無消費の機会」に対して新しい価値を提案し、ユーザーを奪うのではなく市場そのものを開発します。(図5

図5 新市場型破壊的イノベーションの位置付け
図5 新市場型破壊的イノベーションの位置付け
『イノベーションへの解』(クレイトン・クリステンセン/マイケル・レイナー著、翔泳社)(P55)を基に筆者作成

 これら「ローエンド型」と「新市場型」を比較してみたいと思います。「ローエンド型」はニーズを過度に満たされた顧客が対象で、安ければ性能が低くても喜んで受け入れる顧客層がいます。このため、当初は新市場を生み出すわけではなく、もともと市場があった中で顧客を奪っていきます。一方「新市場創出型」は無消費顧客と定義される、これまで全くその製品・サービスに関係していないか、その価値を得るために高い料金を払って専門家に頼んでいた人たちを対象とするビジネスです。従来とは別の新しい価値を生み出し、それを顧客に届けるために事業を推進していきます。その結果、無消費に対抗し新市場を生み出した、新市場型イノベーションとなります。(図6

図6 イノベーション発生メカニズムの類型と特徴
図6 イノベーション発生メカニズムの類型と特徴