米ツイッターは米国時間2022年4月25日、米国の起業家でテスラのCEO(最高経営責任者)であるイーロン・マスク氏の買収提案を受け入れたと発表した。買収金額は1株当たり54.2ドル、総額は約440億ドル(約5.6兆円、1ドル128円換算)。この買収劇が及ぼすインパクトを前刀禎明氏が語る。

イーロン・マスク氏による買収でTwitterはどうなる?(写真/Shutterstock)
イーロン・マスク氏による買収でTwitterはどうなる?(写真/Shutterstock)

 イーロン・マスク氏が米ツイッターを買収したというニュースを聞いた僕の最初の感想は「イーロン・マスク、さすがだな!」。買収に至るまでに、マスク氏のツイッター株9.2%取得、ツイッターによる同氏の取締役起用の発表、同氏による取締役就任辞退と二転三転したわけですが、数人いる取締役の1人に収まるだけでは、やはりインパクトは小さかった。オーナーになるからこそ、世界中に衝撃を与えるのです。

 かつて米アップルが広告などで掲げたキャッチコピーに、ご存じの「Think different.」があります。直訳すると「ものの見方を変えろ」といった意味ですが、周りから見たらクレイジーに見える人こそが世界を変えるというメッセージも込められている。その例として、アインシュタインやガンジー、マリア・カラス、ピカソなどが挙げられました。今の時代なら、イーロン・マスクも当てはまるかもしれません。このダイナミックさとスピード感はさすがとしか言いようがない。

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Twitterのブランディングには最上

 この買収劇、Twitterのブランディングという点で考えると、これほど効果的なことはないと僕は思います。Twitterは世界中で使われているSNSですが、近年は勢いに欠けていたことは否めません。最近はまた少し盛り返しているものの、次々と新しいSNSが登場する中で、一時はTwitterは終わったなんて言われたこともありました。

 その理由はいろいろあるでしょうが、1つは独立したサービスゆえに、ビジネスモデルが弱いことです。例えば、Instagramは米メタの傘下、YouTubeは米アルファベットの傘下。それぞれFacebookやGoogleなど複数のサービスを持って、ビジネスを展開しています。TikTokを運営する中国ByteDanceも同様です。それに対してツイッターにはTwitterしかない。

 もう1つは、ブランドは長く続くほどその運営は難しくなるということです。Twitterがサービスを開始したのは2006年。日本では08年にサービスを開始しています。すでに10年以上たっているのです。

 これは僕の持論でもありますが、マーケティングではまず商品やサービスのインパクトで人目を引き付けて「モメンタム」(勢い)を起こし、新たな「デマンド」(需要)を喚起する。その上でそのデマンドを「デザイア」(欲求、切望)にまで引き上げることが重要です。Twitterを含め、世界中で人気を集める商品やサービスはこの流れにのっとっています。

 ただ、歴史が長くなるほど、そしてその存在が安定してくればくるほど、モメンタムはなくなっていく。この時、ファッションブランドならデザイナーを変えます。歴史を振り返ると、グッチやルイ・ヴィトン、ディオールもそう。最初は批判されるかもしれませんが、ブランドには新しい風が吹き込み、話題を集めます。

 ただ、Twitterのようなサービスは難しい。20年にはInstagramの「ストーリー」のように24時間で投稿が消える機能「フリート」を導入しましたが、翌21年にはサービスを終了しました。21年にはClubhouseのような音声配信機能「スペース」を始めたものの、こちらもさほど盛り上がってはいません。そんな中、“あの”マスク氏がTwitterを買収すると発表したことはこれ以上ない話題になりますし、Twitterがどう変わるのかにわくわく感もありますよね。

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