まだiOS限定のサービスとはいえ、話題を集めている音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」。これって流行(はや)るの? と考える前に「ブームに乗って遊んでしまえ」と前刀禎明氏。「使い方が決まっていないのが今っぽいサービス。黎明(れいめい)期はその開拓こそが面白い」と言う。

(写真/Shutterstock)
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 音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」が話題を集めています。2020年4月に開始したサービスで、日本では21年1月末から2月初旬にかけて一気に利用者が増えました。

 日経クロストレンドの読者にはご存じの人も多いでしょうが、まだよく知らないという人のために少し説明をしておきましょう。

前刀禎明氏もClubhouseに登録した
前刀禎明氏もClubhouseに登録した

 Clubhouseの機能は音声チャットに近いもの。「ルーム」に集まって、「スピーカー」がしゃべったり歌ったり、あるいはただ会話を楽しんだりするサービスです。テキストを書き込むことはできません。モデレーターが許可すれば、途中で、そのルームに参加しているユーザーがスピーカーになることもできます。

 特徴の一つがルームの音声は記録しない、外部に公開しないルールがあること。ルームで起きたことは、基本的にはそのルームに参加した人たちだけで共有するので、InstagramのストーリーやTwitterのフリートと同様、記録されないという安心感や気楽さがあります。現状、ルームの収容人数は最大5000人ほどのようです。このログなし、人数制限ありの仕組みだと、スピーカーに対して親近感が湧いたり、ロイヤルティーが強まったりしやすいと感じます。

 ユーザーは18歳以上が条件で、実名での登録がルール。招待制を取っていて、招待された人のプロフィルに招待した人の名前が表示されます。誹謗(ひぼう)中傷などの問題行為を抑止する効果があるのではないかといわれています。現在はiOSのみに対応していて、Android OSへの対応はこれから。ユーザーインターフェース(以下、UI)は今のところ全て英語。基本情報はこんなところでしょうか。

気軽さと音声のみという特性

 僕もこのSNSをさっそく使い始めました。話すことへのハードルが低いところが気に入っています。空き時間に気になったルームに入って、そこでの会話をただ聴いていたり、場合によっては「挙手」ボタンを押し、モデレーターに許可をもらって何かしゃべったり、そのルームを抜けてまた別のルームに参加したりと、気軽に手軽に楽しんでいます。

 「Zoom」などのWeb会議システムと比べてもはるかに気軽です。Zoomは大昔の国際電話みたいだなと感じることがあるんです。参加者と日時を決めて会議を開く手順が、予約してオペレーターにつないでもらっていた時代の国際電話を思い起こさせる。いつでもどこからでも会議ができるのは便利ですが、Clubhouseと比べてしまうと「気軽」とはいえません。

 もちろんClubhouseでも、会議や仕事がらみのイベントをやるとなれば、事前に参加者で日時を決めてルームを設定しなくてはいけません。でも、確たる目的も約束もないときにも何となく使えるところがWeb会議システムとは違う。暇を潰したいとき、あるいは知的好奇心を刺激したいときに、こんなに手っ取り早く、カジュアルに他人とつながれるSNSはそうそうないように思います。

 特に僕は文章を書くのが面倒でたまらない人間なので、ありがたいですね。テキストチャットは文字を入力する間に何か考えたり迷ったりすることもあるけれど、Clubhouseは(機械を通すとはいえ)“肉声”で、リアルタイムに会話するので、間(ま)が極端に短くなり、より直感的なやりとりになる。ライブ感が強いそのやりとりで、偶発的に何かが生まれることもあるでしょう。ルームの設定・運用によっては、会ったこともない人と話せるので、そこにもまた偶発性がある。頭の中を活性化させたり、アイデアを生んだりするのに向くSNSだと思います。

 音声であることの利点は他にもあります。手と目が自由になるのもその一つ。スマホを手に持って画面を見ながら使うテキスト系、映像系のSNSよりも、その点で便利です。

 それと、これは僕の感覚ですが、非対面のコミュニケーション方法の中で、相手との距離が特に近く感じられるやり方だという気がします。姿が見えない分、イマジネーションが喚起されるような。例えば、ビデオ通話だと相手の姿と一緒に背景も映っていて、それは実景にせよバーチャルにせよ自分が今いる場所とは違いますよね。それは隔たりが目に見えるということでもある。その点、音声SNSにはビジュアル要素がない分、想像が入り込む余地があります。