大切なのは“学び続ける知性”

 初心者でいるのは、勇気が要ります。分からないことを分からないと認めるのは恥ずかしいし怖い。自分が今まで積み重ねてきたものを取り払うと、自分の価値がなくなったように感じる人もいるでしょう。でも、本当は積み上げたつもりのものだって、会社にただ勤める中で得ただけのことが多く、知識や経験を本当に自分の価値に昇華させている人は少ないのです。会社の看板や肩書が立派になっても自分に満足しないで、勇気を持ってリセットとリスタートをくり返す。リセットで失われるものがあるとしても、それはあなたが思うほど重要なものではありません。

 それよりも、自分を守り過ぎる気持ちが創造性の妨げになることのほうが問題です。保身のため、直感よりも理論や常識、データを過剰に重視して、新たなチャレンジをするチャンスを失ったり、「これって何か変だな」と違和感を覚えても、なぜ違和感を感じるのか、それがビジネスにどんな影響をもたらすのかを深く考えず、違和感自体をなかったことにしてしまったり。実はその違和感を持ったところに、新しいサービスや製品の種があるかもしれないのに、見逃してしまうというのはよくあることなのです。

 僕は、企業から人材育成の相談を受けたり、研修プログラムの監修を頼まれたりしたとき、「ラーニング・インテリジェンス」を主眼において考えます。「ラーニング・インテリジェンス」は造語です。言い方にはこだわりませんが、要は“学び続ける知性”を身につけようと言いたいわけです。

 僕が大好きなアニメ「ドラゴンボール」シリーズの主人公、孫悟空はいつまでも強くなりたがります。まさに飽くなき探究心。「スーパーサイヤ人になれたからもういいや」とはなりません。過去に築いたものに頓着しないあのメンタルを、ビジネスの土俵に持ち込むのが僕のもくろみです。知識が悪いと言いたいのではありません。ただ、知識は得た時にはもう過去のものになるのですから、そこに頼りきりでは新しいものは生まれないということを理解しておかなければなりません。

 今回は抽象的な話に終始したので、次回は僕が最近携わった子ども向けの知育プログラムや企業のオフサイト研修などを例に、具体的な方法論を考えてみましょう。どうすればラーニング・インテリジェンスを獲得し、磨いていけるかという話です。「○つのトレーニング」的な記事にはしませんよ。

(構成/赤坂麻実)