“忖度”カルチャーに染まらず、考え続けよう

 日本の会社の多くは、僕の目にはピクサーと逆のことを推し進めているように見えます。社長や重役には物申せないようなカルチャーが脈々と受け継がれ、業務は縦割り、タコツボ化。新製品の企画にしたって、そもそも“上”の人たちが首を縦に振りそうな企画しか会議には出てこないし、“上”の人たちが理解できるものしか通らない。これでは、本当に新しくて面白いものなんか生み出せるわけがないですよね。

 日本のメーカーの社員だって、一人ひとりと話してみれば、優秀な人が多いんです。ところが、組織になった途端に無能化する。えらい人の顔色をうかがったり、周りの空気を読んだりすることが当たり前に求められる組織で、個人の能力が押さえ込まれていくからです。

 何十年にもわたってそれが続くと、優秀だった人もものを考えなくなり、能力は低下していきます。若く優秀だった人が忖度文化になじみ、出世してリーダーになるころには、残念ですが“老害”と呼ばれるような存在になっていることもあります。そうしてまた、その人たちの理解力に合わせた企画だけが上がって決裁されて――負の連鎖には終わりがありません。

 これを打開するにはどうすればいいのか。事はそう簡単ではありません。とても根深くて深刻な問題です。それでも、今真剣に考えないと本当にもう間に合わない。この連載では初回からくり返し、自分でものを考えるクセを付けてほしいと伝えてきました。日本の下請け化の一因は、考えることを放棄させてしまう組織にあります。組織は一朝一夕には変わりませんが、この記事を読んでくれる皆さんは、考えることをやめないでください。遠回りなようでも、それこそが負の連鎖を断ち切る有効な手立てだと思います。

 次回も、下請け化の原因や打開の道を探ります。

(構成/赤坂麻実)

当記事は日経トレンディネットに連載していたものを再掲載しました。初出は2018年4月9日です。記事の内容は執筆時点の情報に基づいています