製品パッケージはチラシじゃない

 製品デザインの周辺でいうと、パッケージも気になります。例えば、デジタル機器の外箱には、製品写真や機種名がでかでかと印刷されていて、まるで家電量販店のチラシのようだと思うことがよくあります。店頭で手にとって消費者が比較・検討するものならともかく、デジタルカメラなど箱ごと店頭に並べられるわけではない製品でも。在庫を管理しやすくするためという話もありますが、あそこまでの主張はいらないはず。すでに製品を買った人がわくわくしながら箱を開封するときに、あのデザインは率直に言って興ざめだと思います。

 米アップルはその辺りの演出が上手なんです。米アップルでは、CEOのスティーブ(・ジョブズ)を中心に、プロダクトマーケティングやマーケティングコミュニケーション、デザインなどそれぞれの分野のトップ5人程度が集まり、パッケージデザインを最終決定していました。僕も参加しましたが、スティーブは自らパッケージまで細かく指示するんです。それは最高の製品は最高のパッケージをまとって出て行ってほしいという思いがあるから。パッケージはユーザーに製品の魅力を感じてもらうための重要な演出なのです。米アップルでなくとも欧米のメーカーは少なくともチラシっぽい箱は作りません。ミネラルウォーターのペットボトルでさえ、海外メーカーのものは比較的シンプル。日本メーカーの製品は、何かにつけて説明書きが多くてゴチャゴチャしがちです。

 パッケージでは何を伝えるべきなのか、一度整理してみるといいのだと思います。基本に立ち返って、“ユーザーを楽しませる”ことを目的に、(製品やパッケージの)デザインを考え直してもらいたいですね。

 今回はロゴや箱について、ひとくさり持論を述べました。ロゴがダサくても箱がチラシみたいでも、実は大した問題ではないのかもしれません。しかし、当たり前と受け流してきたものに注目し、改めて考えてみるのは、仕事や人生のいろんな局面において大事なことです。「ふと目についたこれは本当に必要なのだろうか」などと身近なものを見直して、皆さんも思索のトレーニングをしてみてください。

(構成/赤坂麻実)

当記事は日経トレンディネットに連載していたものを再掲載しました。初出は2018年7月6日です。記事の内容は執筆時点の情報に基づいています