どうも、aiboに触れれば触れるほど、要望が出てきてしまいますね。要望したくなるレベルの製品だからこそですが、できること、したほうがいいことは、まだまだたくさんあります。ソフトウエア・アップデートで今からでも改良できる点もありますよ。例えば、目の表現。これは有機ELに映像を表示しているので、瞳(白く光る円形の部分)を同じ位置に固定しないで、環境や状況に合わせて動かしたりするだけでも、表現力が向上します。グッと表情が豊かになりますよ。

 それから、ユーザーの声だけでなくジェスチャーにも反応してくれるといいですよね。「待て」の意味で手のひらを見せたり、手に持っているものに注目させようと鼻先に何か持っていったり、ユーザーのそうした動きに反応してくれたら、aiboとのコミュニケーションはより充実したものになりそうです。

 テレビやエアコンなどのオン/オフも、aiboを通じてできるようになるといいかもしれません。「aibo、テレビ消して」なんてね。犬にできないことをさせると気分が壊れるというなら、リモコンを取ってくる機能を搭載するのはどうでしょう。アプリからあらかじめ登録しておけば、aiboがリモコンを認識してくわえて持ってくるというようなことはできそうです。その際は、いかにも機械的に取ってくるのではなく、においをかぐような動きをしたり、ちょっと迷ったりの演出を大事にしてもらいたいです。

 言い出すとキリがないですが、もう一歩、あと少しのところまで来ていると思います。おそらく実現すべきことを頭では分かっている。しかし、妥協せずにとことん追求しないで、どこかで手を抜いてしまう。結果、もう一歩の惜しい製品が生まれ、心の琴線に触れることができないのでしょう。

 2018年2月2日には、ソニーの新社長に吉田憲一郎氏が就任するという会見がありました。吉田氏は挨拶で、最近掲げていた「KANDO@ラストワンインチ」とは言わずに「ユーザーに近づく」という言い方をしていました。キャッチーな言葉でなく、本質的な価値を創造すること。僕はそれを、ソニーが現実的に着実に進歩しようとしている姿勢だと受け止めています。ソニーとaiboのこれからを、ぜひ楽しみにしたいと思います。

(構成/赤坂麻実、写真/渡辺慎一郎=スタジオキャスパー)

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当記事は日経トレンディネットに連載していたものを再掲載しました。初出は2018年2月23日です。記事の内容は執筆時点の情報に基づいています