五感で感じる説得力、訴求力は強い

 いざ一緒に遊んでみると、止まっている姿を見るだけよりも、心理的な距離は縮まりますね。動いているのを見たり、鳴き声を聞いたり、手で触れたり、五感で体験することで感じる説得力、訴求力はやはり強いです。せっかくなら、背中が振動するなど細かい触覚フィードバックも取り入れて、五感を使った訴求力を最大限まで活用すればいいのにと思いました。

甘えたようなしぐさも新型aiboは上手
甘えたようなしぐさも新型aiboは上手

 動きは、想像していた以上に犬っぽい。アゴをなでているとその人の手に頭をあずけてくる感じ、前脚を寝かせ、腰を落として遊びに誘うしぐさ、腰を左右に振る動き……犬が好きな人にはたまらないでしょうね。腰が動くように作ると、それだけでコストはかなり上がるはずですが、それでもここにコストをかけた判断はとてもいいと思います。aiboに心があって、それがしぐさに表れているかのような演出は、人の感動を生む大事なところですから。

愛らしい動きを出すため、腰の部分は複雑な作り。コストはかなりかかっているはず
愛らしい動きを出すため、腰の部分は複雑な作り。コストはかなりかかっているはず

 教えたことを半分までしかやらなかったり、呼んでも来たり来なかったり、動きにバラツキがあるのもいいですね。ここをこうすると必ずこうなるというように、毎回決まりきったリアクションをされたら興が乗らないと思うんですよ。全部が全部、理屈で割り切れないところに面白みがあると思います。

 お腹の部分にはセンサーが内蔵されていませんが、aiboがまるでお腹に触れられているのを分かって反応しているかのように動くときがあって、これも理屈じゃない面白さといえるかもしれません。昔、アップルがディスプレーと選曲機能を持たない音楽プレーヤー「iPod shuffle」を発売したとき、「shuffleの選曲が絶妙」「再生する順番が気が利いてる」などと喜ぶユーザーがいました。実際には全くのランダム再生なんですが、製品への愛着や思い入れがありもしない機能をあるかのように感じさせる――それに近いものをaiboが生み出せているとしたら、製品設計がある程度うまくいっている証です。

 aiboを存分に楽しめるかどうかは、ユーザーのクリエイティビティにもかかっているでしょうね。aiboとの新しい遊びを生み出す力や、aiboの動きに感情がこめられていると想像して頭の中で補完する力があるほど、aiboとの体験は豊かなものになる。逆に、そういう力があまりない人はすぐに飽きてしまいそうです。こういう、ユーザーのクリエイティビティによる差を生む製品も、あっていいと思うんですよね。