可もなく不可もなく、全部やる

 3つ目が「超」が付く生活密着です。アマゾンは、先に挙げたようなハイテク事業も手掛ける一方、生活にとても近い分野の事業も持っています。食品や日用品、衣料品。自社ブランドの製品系列には電池やケーブルもあります。

 普段の生活では、品質が圧倒的に優れているかはさほど問題ではなく、可もなく不可もないレベルの製品でいいから、アマゾンという信頼感あるECサイトから便利に買いたいというシーンが、いくらでもあると思うんです。これだけそろっていれば、さまざまな小売業者のECサイトを個別に利用するより、「アマゾンでいいか」という気になりますよね。いまや、アマゾンなしでは生活できないという人もいるのでは。

 そして、アマゾンはこの「アマゾンでいいか」の範囲をどんどん広げてきました。「アマゾンファッション」も、立ち上げの頃(2007年)は「アマゾンがアパレルを扱うなんて本気?」という反応が大勢を占めましたが、いまや急成長中のカテゴリーで、出店ブランドも拡充しています。Kindleも当初(2007年)は「通販会社が作るハードなんて」と否定的に見られていたけど、2012年には高性能な「Kindle Paperwhite」が出て、形もだんだん洗練されてきました。

電子書籍リーダー「Kindle」は10月に発売された最上位機種「Oasis」でIPX8等級の防水機能を装備。お風呂などでも読めるようになった
電子書籍リーダー「Kindle」は10月に発売された最上位機種「Oasis」でIPX8等級の防水機能を装備。お風呂などでも読めるようになった

 米国での報道によると、アマゾンは自社ブランドのスポーツウエア生産を始めると言われています。自社ブランドも“ちょうどいい”んですよね。安っぽくはなく、高すぎることもなく。アマゾンブランドのスポーツウエアを着ることに、恥ずかしさや抵抗感を覚える人は少ないんじゃないでしょうか。特別かっこよくはないかもしれないけど、ダサくはない。十分、着られる。うまい立ち位置を見つけたと思います。

 8月末には食品小売のホールフーズ(米Whole Foods Market社)を買収しましたが、あれもいい会社を買ったものだと思います。ヘルシー、高級といったイメージで若い世代にも人気のスーパーです。買収先の選び方も含め、アマゾンは少しずつ上手にイメージを押し上げてきています。