メーカーが陥りがちな技術自慢とは無縁

 2つ目の“目的視点”での製品開発力。アマゾンは近年、電子書籍リーダー「Kindle」やタブレット端末「Fire」、買い物ボタン「Dash Button」、さらにはスマートスピーカー「Amazon Echo」といったハードウエアを市場に投入しています。ですが、もともとがオンライン通販事業者であって、機器メーカーではないので、メーカーとは発想の方向が違います。ハイテクな機器もサービスを享受するためのツールとして開発しています。

押すだけでアマゾンで取り扱う商品を注文できる「Dash Button」
押すだけでアマゾンで取り扱う商品を注文できる「Dash Button」
スマートスピーカー「Amazon Echo」
スマートスピーカー「Amazon Echo」

 この連載で何度も指摘してきたように、メーカーは優れた技術を持つ会社ほど、技術ありきで製品を作りがちで、ユーザーに対しても技術の高さをアピールしがちです。本来なら、この製品があるとこんなことができる、こんなふうに生活を素敵に彩ってくれる、と具体的な利用イメージを広げてユーザーの需要を喚起すべきなのですが、それができない会社は案外多い。

 アマゾンはその点、サービスを目的に製品を開発しているわけですから、決して技術自慢に陥らない。技術の高さよりも、その製品で自社のサービスがどのように使えるかをアピールします。だからこそ、あっと驚く製品が生まれたりします。

 アマゾンがオープンを目指して実験をしているレジ不要の食料品店「Amazon Go」もそうです。買い物客は商品を手持ちのバッグなどに入れて店を出るだけで決済ができる。まだ技術的に課題はあるようですが、無人レジを開発する考え方よりも、顧客の求めにまっすぐ応える発想になっていると思います。