“スティーブっぽい”プレゼンを目指すな

 それでは、説得力があって人を感動させるプレゼンとは何だ、という議論になると、どうしても具体的なハウツーの話に終始しがちです。スティーブ(創業者のスティーブ・ジョブズ氏)っぽい、アップル風のスタイルを真似たい人、実際に真似している人が多かったりします。でも、誰かのスタイルをなぞることに意味はありません。

スティーブ・ジョブズ氏のプレゼンは皆の憧れだが……。写真は2008年の「Macworld Expo」で「MacBook Air」を持つジョブズ氏
スティーブ・ジョブズ氏のプレゼンは皆の憧れだが……。写真は2008年の「Macworld Expo」で「MacBook Air」を持つジョブズ氏

 プレゼンに一番大切なのは、「本当に自分がいいと信じていることを自分の言葉で話すこと」。シンプルにこれに尽きるからです。型にはまらなくていいんです。アップルがこうだから、スティーブがこうだから――そんなことは気にしなくていい。スタイルをそのまま模倣するのではなく、なぜそのスタイルが感動を呼ぶのだろうと考えて、同じ意味合いのことを自分らしくやるのが一番です。そうすれば、自然と前を見て話すことになるし、いわゆる“目力”だって効くようになります。

 自分の考えを自分の言葉で話すとき、付け焼刃は役に立ちません。日ごろからいろんなことに対して、自分なりの見解を持つことが重要です。それには、何かを見たときに自分がどう思うのか、自分にとってこれはどんな話なのか、と日々考えるクセを付けていくことです。

 これは何も経営陣に限った話ではありません。日ごろから考えていなければ、新製品発表会にしろ社内の会議にしろ、自分の意見が言えるわけがないですよね。社内の会議で上司からふと「これどう思うの」と聞かれて、「いやー、いいと思いますよ。最近、それトレンドだし」なんてさえない返事をしてしまったことはありませんか? そうならないように、自分なりのものの見方を確立できるように、考えることを習慣づけていってほしいですね。

(構成/赤坂麻実)

当記事は日経トレンディネットに連載していたものを再掲載しました。初出は2017年10月13日です。記事の内容は執筆時点の情報に基づいています