業績がいい今こそ、みんなが憧れる製品を

 リモコンぐらいで、そんなに意地悪く言わなくてもいいじゃないかと思う人もいるかもしれません。でも、経営方針説明会でソニーは「お客さまに最も近いところでデザインや質感にもこだわる」と宣言したんだから、そこからやってほしい。妥協しないで、最高の質感を追求するべき。

 もっと言えば、経営方針説明会でしゃべったからというよりは、“ソニーだから”やってほしいんです。ソニーが不振に陥った時代、経営者の一人が不満げに言いました。「『ソニーは最近、革新的な商品を出していないじゃないか』と追及される。A社やB社だってそんな商品は出していないのに、どうしてウチだけが批判されるんだ」。

 これはとても残念な発言でした。「どうしてウチだけが」って、みんながソニーに期待しているからですよ。ソニーの前身である東京通信工業の設立趣意書には「他社の追随を絶対許さざる境地に独自なる製品化を行う」とあります。ソニーには、ソニーだから負うべき“宿命”があるのです。

 ソニーの業績は上向きで、今期(2018年3月期)は営業利益で20年ぶりの高水準になるとか。そういうときだからこそ、ソニーを代表するような「これがベストだ」といえる製品を作ってほしいです。超短焦点の小型プロジェクターで話題を呼んだり、最近のウォークマンやXperiaでは質感にもこだわったりと、いい兆候は見えています。いちファンとして、みんなが憧れるライフスタイルを想起させてくれるソニー製品の登場をぜひ待ちたいと思います。輝き続けるソニーであってほしいですね。

(構成/赤坂麻実)

当記事は日経トレンディネットに連載していたものを再掲載しました。初出は2017年6月30日です。記事の内容は執筆時点の情報に基づいています