大手IT企業の参入が相次ぐQRコード決済サービスの覇権争いの行方を探る特集の第6回は、ベンチャー企業の動向を追う。メタップス子会社のpring(東京・港)は大手も顔負けの業界最低水準の決済手数料0.95%を打ち出し話題を呼んだ。PAY(東京・渋谷)はECプラットフォームとの連携で、商品別QRコード決済を簡単にリアル店舗に導入できる仕組みを開発。各社は独自の取り組みで大手企業に対抗する。

「PAY ID」を導入する革商品専門店の「アールアトリエ ドゥトラバイユ 中目黒」
「PAY ID」を導入する革商品専門店の「アールアトリエ ドゥトラバイユ 中目黒」

 ITとスマートフォンなどを組み合わせることで、既存の枠組みとは全く異なる仕組みでお金のやり取りを実現する「FinTech」の登場で金融業への参入障壁は大きく下がった。技術力と事業アイデアを持つベンチャー企業からさまざまな金融サービスが登場している。

 QRコード決済市場も同様だ。ただし、ベンチャー企業は大手ネット企業や携帯電話会社のような資本力や、大規模なユーザー基盤を持たない。真正面から戦いを挑んでも勝ち目は薄い。そこで、EC構築サービスと連携して簡単に商品別QRコード決済をリアル店舗に導入できる仕組みや、CRM(顧客関係管理)を自動化する集客機能の開発によって独自性を極めることで導入を進める。

50万店舗の利用企業が見込み客

 140万人が利用する決済サービス「PAY ID」を提供するPAYは、親会社のBASEが提供する中小企業向けECプラットフォームとの連携によって、店舗開拓を狙う。BASEは無料で簡単にECサイトを開設できるサービスを提供しており、利用店舗数は50万を超える。PAY IDは会員登録することでこの50万超のBASE利用店舗で、IDだけで決済できる。QRコード決済にも対応しており、リアル店舗での決済にも利用可能。つまりPAYから見れば、BASEの持つ50万超の店舗が、そのままQRコード決済導入の見込み客となる。

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