約2000万人のdポイント利用者を送客

 このため、d払いのQRコード決済は当面、ユーザーがアプリでQRコードとバーコードを生成・表示して、小売店側がPOSや専用端末で読み取る方式のみになる。楽天などが中小・零細小売店の開拓を狙って特に力を入れる、QRコードを紙などにプリントアウトして店頭に置く方式の決済には、「遠くない将来に対応していく考え」(伊藤氏)。当面は大手の小売りチェーンを狙うという姿勢が鮮明だ。

 その際の武器になるのが、dポイントと各種キャンペーンを使った送客効果、それにd払いアプリはもちろん、dポイントユーザーを束ねる「dPOINT CLUB」向けのメールなど、ユーザーに情報を伝えられる各種のオウンドメディアの活用である。「d払いアプリの画面に小売店がクーポンを配信できる機能は現在、開発中」(伊藤氏)だが、「約2000万人に達するdポイントユーザーのほとんどからはメール送信のパーミッションを得ている」(伊藤氏)ので、dPOINT CLUB向けのメールなどに、新たにd払いが可能になった小売店の情報などを配信していくことを進めていくようだ。

小売店側には懸念も残る

 ただ、小売店側からすれば懸念もいくつか残る。0%に引き下げたLINEやヤフーなどに比べると、3%台というd払いの決済手数料は割高に映る。またドコモが将来、アプリへのプッシュ通知やメールを使った小売店発のデジタルマーケティングを有料サービスにしていく方針なのも、気がかりだろう。

 それに、ドコモが運営する電子マネー、iDとのすみ分けが曖昧なのも気になるところだ。LINEなどは、電子マネーが既に普及している大手の小売りチェーンは電子マネーによる決済に任せ、キャッシュレスが普及していない中小・零細店を狙って、QRコード決済で開拓にかかっている。これに対してドコモは、「d払い、iD共に普及に力を入れていく」(伊藤氏)とは言うものの、両者が導入先として想定している小売店は重なる部分が大きく、店側からすれば、どちらを優先的に扱うのか微妙になる。

 これらのハードルはあるものの、ドコモは、まずはドコモ払いから移行してくるだろう約1500万人にd払いを頻繁に利用してもらい、将来は約5000万人のドコモのケータイユーザーにも、d払いを利用してもらいたい考え。そのためには、d払いユーザーに「リアルな小売店で決済しよう」と思わせるだけの魅力的な小売店を、その懸念に応えつつ早期に開拓するという、難しいかじ取りが求められるだろう。