※日経エンタテインメント! 2018年7月号の記事を再構成

学生時代に組んだ理工系男子チームが、気がつけばグローバルで活躍するデジタルアートのクリエイティブ集団となった。世界中の心をつかむ秘密は、作品に込められた“21世紀型フォーマット”にある。作り手と受け手の関係性が変わりゆく今、人の心を捉えるものとは何か。チームラボ代表の猪子寿之氏に聞いた。

いのこ・としゆき 1977年生まれ、2001年、東京大学計数工学科卒業時にチームラボ設立。子どもの頃に好きだった番組は『オレたちひょうきん族』。音楽は「思春期の頃はジョン・レノン。学生時代はアンダーワールド」
いのこ・としゆき 1977年生まれ、2001年、東京大学計数工学科卒業時にチームラボ設立。子どもの頃に好きだった番組は『オレたちひょうきん族』。音楽は「思春期の頃はジョン・レノン。学生時代はアンダーワールド」

 プライベートで訪れていたら虜になったらしい――そんなミュージシャンや俳優の話を最近よく耳にする。虜の主はアーティスト集団「チームラボ」の作品だ。

 四方八方に浮かび上がる花や蝶、鯉の泳ぐ軌跡が見える水面、無限に続く光の世界…。普通に見て回るつもりが、いつの間にかその表現世界に「没入している」というスタイルだ。鑑賞者の存在次第で現れる世界も変わる。かと言って干渉されるうっとうしさや押し付けがましさはない。癒しと刺激が同居する作品空間には、お忍びでやって来る海外セレブも多い。

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